徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

原点回帰のプチ探訪 その3

2008-08-06 08:57:26 | 建築つれづれ…
 最後に訪れたのは、「東京カテドラル大聖堂」これも丹下さんの作品です。前述の代々木競技場と世代が一緒です。特徴のある屋根はHPシェル構造で壁から屋根まで一体となっています。HPシェルとはHyperbolic Paraboloid(双曲放物面)でできたシェル構造のことです。シェルではさまれた部分がトップライトとなっており上から見ると十字架をかたどっています。
内部に入るとこの十字架のトップライトから入る自然光が幻想的な空間を演出しています。このカテドラルも建築手法は代々木と一緒で、垂直に空に向かって延びる直線と2次曲面の構成。この時代の丹下さんの作品を象徴してます。また、外壁にステンレスをふんだんに使っていて右肩上がりの時代を象徴している感じがします。こんなにステンレスを使ってみたい…使ったことが無い…。
               
 建築でも設計を目指そうと思い始めた大学2年の頃、夏休みの課題で模型を作ることになりました。2,3人のチームでひとつ模型を作るんですがそれに我々が選んだのが「東京カテドラル大聖堂」でした。ちゃんとした図面も無く、雑誌に載っていた図面をコピーして作りました。このシェル構造の2次曲面を表現するのに苦労しました。夏休み最後の1週間までいい案が浮かばない…。ふとホームセンターに行ったときにひらめきました。すだれです。すだれを適当な大きさに切ってねじるんです。すると簡単に2次曲面がで、できた!!このすだれ2次曲面に紙を張って外壁のステンレスのリブを表現して完成2次曲面を表現する手段に3週間、製作1週間の力作でした。今でもこの模型は大学の製図室に飾られているそうです。
 原点回帰ということで建築を見て廻ったんですが、くしくも丹下さんのもの2作品。意図したわけではありません…。でもこの頃の丹下さんの作品は好きです。私の好きな建築は谷口吉生氏の土門拳記念館。やっぱ地元にある名建築ですから…、いつ行っても、何回行っても飽きません。天気がいいので今日も行こうかな…。      ~おわり~
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原点回帰のプチ探訪 その2

2008-08-05 08:50:17 | 建築つれづれ…
 代々木競技場を後にして次なる目的地は大井町。ここには私が初めて仕事らしい仕事をした建築がある。入社2年生だった頃に、入社3年生と2人で何もわからないままやってしまった仕事。会社も残酷だよね…。誰も上に付けてくれなかったんですよ、先輩を。2年生と3年生だけで訳もわからずとりあえずやりましたと言うような代物です。「品川区防災センター」もう17年も前のことですかぁ、早いです時が過ぎ行くのは。ちょっと写真載せるのも恥ずかしいのですが載せますこれも私の足跡。毎日毎日終電まで仕事してたなぁ~、だってまだ右も左もわかんなかった頃ですから、作業するのに時間がかかるかかる。でも仕事ができるようになりたいと毎日思っていた頃。よく先輩からバカだのなんだのと言われていた頃。社会人になっての初めての仕事、ここに私の社会人としての原点があります…。 
 ちなみにこの品川区防災センターの向かい側に気持ちのよさそうな公園ができてました。当時は無かった公園です。子供たちが無邪気に水遊びをしてました。いい風景でした
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原点回帰のプチ探訪 その1

2008-08-04 11:42:53 | 建築つれづれ…
 8月2日、3日と仕事で東京に行ってきました。2日は仕事の打合せを古巣の事務所に行って後輩と打合せです。その夜は先日以前のコラムで書いたSGセミナー2008のメンバーと同窓会という名目の飲み会に参加。3日にはフリーでしたのでさて何を見てこようかという事になりまして…、私の出した答えが「原点回帰」でした。今こうして建築設計の仕事をさせてもらい、独立をし、古巣の事務所から仕事を依頼されたのも「あの時」があるからです…。いくつかのあの時を訪ねてみようと思いました。
 最初に「建築」に興味が出始めた「あの時」とは?親父が大工だったせいもあってガキの頃から建築には触れる機会が結構ありました。小学生の頃だったと思います。あるとき家に本があって、何気なしにその本を開いたんです。そうしたら、すごい建築が目に飛び込んできたんです。当時の私の目には渦巻きが2つ連なっている巨大な建物という印象でしたが、その印象がかなり強烈でした。こんなことができるんだ…、建築といえば田舎暮らしの私には、一般的な個人住宅がほとんどだったので、それはそれは強烈でした。そう丹下健三氏の「国立代々木競技場」です。おぼろげながら建築に興味を抱き始めた原点。早速代々木に向かいました。 
 明治神宮前の交差点から巨大なフォルムを現す代々木競技場。1960年代に競技を行う選手たちの向上心を鼓舞するような垂直に延びていくフォルムと優雅な2次曲面を超高力鋼サスペンション構造を採用し表現した。当時は高度経済成長期で全ての日本人が未来志向になってきていたから実現できた建築だと思う。コンクリートという重量素材で2次曲面をこんなにきれいに表現している、単純にすごい。晩年の丹下さんの作品は個人的にはコテコテしててあまり好きではない、東京都庁しかり、フジテレビしかり。しかしこの頃の作品は晩年とは違いシャープなものが多い。直線と曲線の表現が繊細と言うかなんと言うか…、たまらない。この作品を本で見たからこそ今の自分がある…。2016年の東京オリンピック招致委員会理事の建築家・安藤忠雄氏は、尊敬の念をこめてこの競技場を再利用すると言っている。もう丹下さんはこの世にいないがこうして彼の魂はいまだ風化されずに生きている。 ~つづく~
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プラモ住宅

2008-08-01 13:35:18 | 建築つれづれ…
 最近の住宅メーカーの施工って早いですよね。昨日まで、木造の建て方(柱梁を施工すること)を行っていたと思ったら、今日は屋根、外壁、サッシ全部とりつけが終わって外装がすべて完了なんてざらです。私からすると、ホントにこれでいいのか?と首をかしげたくなる思いです。まるでプラモデル…。
 早いことはいいことだけどホントに検討を重ねて工事してるんだろうか?考えて仕事しているんだろうか?建築ってそんなもんじゃないと思うんですが…。住宅を建てるのって建て主にとっては一生に一度あるかないかの出来事です。家族の一生を背負う住宅建設をプラモデルのようにやっちゃっていいのでしょうか?もっといい家にしたい、もっと使いやすくしたいと考えれば考えるほど時間はかかるもの。家族の思いがそれには反映されるはずである。苦労を重ねながら設計、施工するから完成した時に感慨深いものが込み上げてくるものなんです。私は一建築家の端くれとしてそう思っています。家を新築する人、それを設計した人、施工した人の思いや考え(アイディア)が一つの住宅という形になるのだと…。
 友人達とお酒を飲んだ時によく言う言葉があります。「家を買うと言うな、家は創るものだ。買うという思いがあるから気にいらないときにクレームを言いたくなる。建て主も一緒になって創るものなんだ。」酒田ではまだ住宅を建てる時に設計事務所に仕事をお願いすることが少なく、住宅メーカーに依頼することがほとんどです。我々設計事務所に住宅の設計~工事監理までを依頼してみてはいかがですか?建て主の立場に立った代理人としてお手伝いすることが我々の存在価値です。
 皆さんは一生に一度あるかないかのイベントを、初めて会った営業マンに任せっきりにしていませんか?丸投げ状態ではありませんか?吉野家牛丼のようなプラモ住宅もいいけど、そんなんじゃ、理想の、納得いく住宅はできませんよ…。建て主、設計者、施工者が時間と頭と技を駆使し、一生懸命やって初めて100%納得いく建築を創れるんだという私の信念は揺るぎません。
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