趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
神奈川中央交通 預り金引換証10円
神奈川県や都内多摩地区に路線網を持つ、神奈川中央交通関連の券を御紹介したいと思います。
平成23(2011)年に同社乗務員が発行した「預り金引換証10円」という券です。若草色神奈川中央交通自社地紋の千切り券となっています。
この券は旅客が運賃箱へ誤投入してしまって返金ができない時などに発行されるもので、バス会社各社では「証票」などといった名称で発行しているものです。券面に記載されている通り、この券は10円分の乗車券として使用することができるほか、営業所や案内所に持って行けば10円に払い戻しする形で現金化することができます。
裏面です。券番の下に「扱者」という欄があり、ここに乗務員さんの氏名印が捺印されています。社員番号のような番号と氏名が捺印されていますので、画像は加工させていただいています。
その下に「受取人お名前」という欄がありますので、払い戻しをしたことはありませんが、手続き時に旅客が氏名を記入することにより、受取書にするのだと思います。
乗務員さんは革財布のようなものとかに入れて所持していますが、頻繁に使用するものではないのでどうしても劣化してきますので、あまり状態の良くないものも見受けられ、この券についてもあまり状態が良いものとは言えませんが、運賃を支払って購入できるものではありませんので、ありがたくコレクションさせて頂いている次第です。
上田バス アリオ専門店 イトーヨーカドーお帰りきっぷ
2020(令和2)年9月に、長野県上田市にあります「アリオ専門店 イトーヨーカドー」で発行された、上田バスのお帰りきっぷです。
桃色BJRてつどうじどうしゃ地紋のA型券で、日本交通印刷で調製されたものです。
アリオ専門店 イトーヨーカドーでは、2,000円以上のレシートをサービスカウンターに持参すると、上田バスもしくは上田電鉄で使用することのできる「お帰りきっぷ」をもらうことができます。これは、買い物客への公共交通機関の利用を推進する事業の一環で、最短区間分の帰りの交通費を補助するものとなっています。
上田バスは上田市内周辺に路線を持つバス事業者で、現在の上田電鉄別所線を運営する上田交通から分社化された上電観光バスを前身とし、上電バスを経て現在の社名になっています。
実際に買い物をした時のレシートです。サービスカウンターでバスのきっぷを戴きたい旨をレシートを提出のうえ申告し、乗車券の交付を受けます。乗車券が交付された時、レシートには交付済みの印として、日付印が捺印されます。
乗車券の裏面です。この券は200円区間までの乗車券となっておりますので、それ以上の区間を乗車する場合、差額運賃を支払う旨の記載があります。
東海バス 熱海駅前案内所発行 熱海駅前からお宮の松ゆき 片道乗車券
拙ブログと同じqooブログのなかで、「伊豆の青春ドライバー【ミモリーの日記】」の管理人で、バスのドライバーをされているミモリー様にフォローを戴いております。ミモリー様のブログはとにかく写真がきれいで、また、管理人であるミモリー様がいつも笑顔の写真も掲載されていて、大変楽しいブログです。御存じない方は御訪問されるとよろしいかと思います。(別に、コマーシャルを頼まれたわけではありませんよ。)
さて、今回はミモリー様に因んで、伊豆半島地域を中心としてバス事業をおこなっている東海バスの熱海駅前案内所で2009(平成21)年12月に発売された、熱海駅からお宮の松停留所ゆきの片道乗車券を御紹介致しましょう。
橙色東海バス自社地紋のノンカーボン式の補充乗車券となっています。案内所窓口で乗車券をコレクションしている旨を告げ、路線バスの乗車券の有無をおたずねしたところ、路線バス専用の乗車券は無いけれど、手書きの券であればということでしたので、こちらを発売していただきました。
基本的には定期観光バスなどの乗車券として発行するもののようで、普通乗車券としても発行できる様式になっています。右下に「第一種」と記載されていることから、「第一種補充乗車券」ということになるかと思います。
ちなみに、同社では「第二種補充乗車券」というと、往復用のものなのだそうです。
発行会社名は親会社の「東海自動車株式会社」となっており、1999(平成11)年に分社化される前から設備されているものと思われます。
地紋部分の拡大してみました。
画像では見づらいかもしれませんが、社紋が連続して並んでいるもので、同社が硬券の乗車券を発行していたころのものと同じであると思われます。
裏面です。
表面にも「下車」という途中下車をチェックする欄がありますが、現在では廃止されているかもしれませんが、同社では途中下車の取扱いを行う旨の記載があります。
また、「4.(イ)」において、「普通乗車券の場合の場合は、入鋏前で、且っ・・・」となぜか「つ」の文字が促音になってしまっているのが御愛嬌です。
この券は購入してから10年以上が経過しておりますので、現在は東海自動車の補充乗車券は使用されていないかも知れません。
新宿高速バスターミナル バスタ新宿から東京ディズニーランド®ゆき片道乗車券
2018(平成30)年7月に、新宿バスターミナルが運営する、バスタ新宿から東京ディズニーランド®ゆきの片道乗車券です。
黄色新宿バスターミナル自社地紋の感熱式券売機券で、レシートのような長い券になっています。
東京ディズニーランド®へ行く便は「新宿⇔東京ディズニーリゾート®」線という路線で、座席を指定しない乗車定員制のため、便の指定を受けたうえで発券します。
地紋部分を拡大してみました。蛍光色のような黄色の文字で「SHINJUKU EXPRESS BUS TERMINAL」と書かれていますが、薄くて見づらいです。
裏面です。
ご案内文が印刷されており、運営会社である新宿高速バスターミナルの社名が印刷されています。
東京ディズニーランド®および東京ディズニーリゾート®は日本国内で登録商標の登録がありますので、日本の商標法では登録商標である旨の表示をするように努めなければならないとされている(73条)ため、券面の表記に登録商標を示すマークである「®」もしくは「(R)」が必要と判断されたのでしょう、日本語表記の後ろにはマークが付けられているのが特徴です。
南国交通 鹿児島空港出札所発行 空港バス共通乗車券
2018(平成30)年10月に、南国交通鹿児島空港営業所管内にあります、鹿児島空港出札所で発券された、空港バス共通乗車券です。
黄色鹿児島空港バス専用地紋の金額式券で、券売機によって発券されています。
鹿児島空港には南国交通の他に鹿児島交通のバスが乗り入れており、この券は発着するどの事業者のバスにも使用することができます。図示いたしませんが、この券は料金機対応になっており、裏面にも全く同じ地紋と印字がされています。
この券の特徴は地紋にあります。
では地紋を拡大してみましょう。
大きく拡大してみました。
拡大してみますと、いろいろなバス事業者の名前が入っていることがわかります。
1. ナンゴクコウツウ (南国交通バス)
2. ジェイアール (JR九州バス)
3. カゴシマコウツウ (鹿児島交通バス)
4. ハヤシダサンギョウ(林田産業交通バス)
5. クウコウリムジン (鹿児島空港リムジン)
6. ナンキュウコウソク(南九州高速バス)
以上6社の名前が確認できます。
このうち、南国交通バスとJR九州バス、鹿児島交通については現在でも運行されておりますが、林田産業交通バスは1996(平成8)年に経営破綻したうえで林田バスに社名変更され、いわさきグループの傘下に入り、いわさきバスネットワークに移行されますが、2016(平成28)年に鹿児島交通に譲渡のうえ、会社は解散してしまっています。
また、鹿児島空港リムジンは鹿児島交通と林田産業交通バスが共同出資で立ち上げた、全国的に珍しい空港バスの専業会社でしたが、2006(平成18)年に鹿児島交通に移管されています。
さらに、南九州高速バスは鹿児島交通と林田産業交通バス、南国交通バスの3社共同出資で立ち上げた高速バスを運行する会社でしたが、2004(平成16)年に会社が清算されてしまっています。
このように、地紋に描かれている6社のバス事業者のうち3社が2004年から2016年の間に無くなってしまっているわけですが、この券紙はいつの時代からのストックなのか、大変興味深い所です。
立山開発鉄道 室堂から美女平ゆき片道乗車券
平成元年10月に立山開発鉄道(現在の立山黒部貫光の一部)室堂駅で発行された、美女平ゆきの片道乗車券です。
水色富山地方鉄道地紋を使用したA型一般式大人・小児用券で、日本交通印刷で調製されたものです。
同社には富山地方鉄道の資本が入っている関係から、券紙の地紋が流用されていたものと思われます。このような例は加越能鉄道にもありましたので、事情は同じかと思われます。
裏面です。
立山高原バス区間の途中停留場である天狗平および弥陀ヶ原では途中下車をすることが可能であり、その旨が記載されています。他にも弘法停留場でも途中下車は可能なようですが、同停留場は毎年4月から11月の運行シーズン中の7月から11月までに限定して開設されるためか、乗車券への記載がありません。
同路線は一般的に「立山黒部アルペンルート」の一部として通しで利用されることが殆どであり、路線バス単体での路線案内のようなものはあまり無いようで、周遊コースの一部として案内されているみたいです。
立山開発鉄道は現在の立山黒部貫光の室堂~美女平間の立山高原バスと美女平~立山間の立山ケーブルカーの部分で、この券が発行された16年後の平成17年10月に立山黒部貫光と合併し、立山黒部貫光となっています。
かつては富山地方鉄道立山線の有峰口駅(旧・小見駅)~粟巣野駅(立山~本宮間にあった廃駅)が昭和29年に同社に移管された時期があったようですが、昭和37年には再度富山地方鉄道に移管されています。
和泉村村営バス 乗車券
戴き物なので詳細が不明ですが、和泉村村営バスの乗車券です。
水色和泉村村章地紋の半硬券で、発着停留所の番号をパンチで入鋏する独特な様式です。
恐らくこの券は、5番停留場(もしくは区)から6番停留場(もしくは区)までの1区間用として発行されたようです。
裏面です。券番も印刷されていますが料金の記載は一切なく、どのように売り上げ管理をしていたのか、興味深いところです。
地紋を拡大しますと、和泉村の村章が分かります。
和泉村はかつて福井県の最東端で岐阜県との境界線の辺りにあった村で、昭和30年代に下穴馬村と大穴馬村が合併して誕生した村のようですが、平成17年に大野市に編入されて消滅しています。村内にある鉄道の駅が越美北線の九頭竜湖駅で、この券は九頭竜湖駅で購入されたものだそうです。
和泉村村営バスはJR九頭竜湖駅を中心として路線があったようで、九頭竜湖駅からぶなの木台、天狗岩、和泉スキー場、家族旅行村を結ぶ「前坂線」、国民休養地、板倉、平成の湯、下山、大納、中竜、板倉を結ぶ「下山中竜線」、板倉、下山、越前大野駅を結ぶ「大野線」の3路線があったようで、現在は大野市に引き継がれて大野市営バス「和泉3線」という名称で存続しており、いずみタクシーという事業者が市から委託されて運転されているようです。
スカイバス東京 乗車券
前回エントリーではとバスの座席指定乗車券を御紹介いたしましたが、もうひとつ、やはりはとバスのように東京観光を主としているバス事業者で、貸切バスやハイヤー・タクシーを運行している日の丸自動車興業のスカイバス東京という定期観光バスがあります。
スカイバスははとバスほど多くのコースを設定していませんが、オープントップのバスを売りにしており、最近でははとバスもオープントップバスを導入しています。
スカイバスの乗車券です。桃色スカイバス自社地紋の端末券で、はとバスがドット印字であるのと異なり、こちらはレーザー印刷になっています。
やはり右端に半券が付いており、乗車改札の際に切り取られます。
裏面です。簡単なご案内文が印刷されています。
はとバス 端末機発行座席指定乗車券
平成13(2001)年3月に東京駅丸の内南口はとバス案内所で発行された、東京一日コースの座席指定乗車券です。
桃色はとバス自社地紋のストックフォーム型券で、ドットプリンターで印字された端末機になります。
はとバスは東京都内の駅を拠点とし、定期観光バス事業・貸切観光バス事業と、企画バスツアー事業を主力事業とするバス事業者です。さらに、平成初期ごろから東京都交通局が運営する都営バスの一部路線の業務受託も行っており、東京都内を走る都営バスの乗務員がはとバス所属の乗務員であったりします。
同社の主力事業である定期観光バスは、JTB等の旅行代理店だけでなく自社案内所でも乗車券の発売が行われており、定期観光バスという性格から、座席指定制となっています。
御紹介の券は自社案内所である東京駅丸の内南口案内所で発行されたもので、座席指定乗車券という名称で発券されます。左側には半券が付いており、乗車時に乗務員(ガイドさん)が切り離して改札をするため、残っていません。
券面左上からコース番号とコース名および区分が印刷され、次に乗車日および乗車場所、座席指定、そして運賃が印字されています。運賃右側にある「C」の符号はクレジットカード決済を意味します。
裏面です。キャンセル時の規程等のご案内が印刷されています。
同社では他の旅客運輸事業者との連絡運輸を行っているコースが存在し、写真のように連絡運輸用の停留所がある他、かつては国鉄とも連絡運輸が行われていた記録があります。
こちらは国鉄が昭和41年に発行した内部資料である連絡運輸の一覧表です。
社線(はとバス)との連絡駅は東京駅の他に新橋駅・上野駅・新宿駅・錦糸町駅が設定されており、社側側の発駅は「東京遊覧」という名前で統一されており、駅管コードも「▲6468100」となっています。
新宿高速バスターミナル発行 高速バス乗車券
平成30年月に新宿高速バスターミナルが運営する、バスタ新宿内の案内所で発行された、高速バス用乗車券です。
黄土色新宿高速バスターミナル(SHINJUKU EXPRESS BUS TERMINAL)地紋の感熱式券紙を使用した共通券で、関東バスが運行する新宿~五条バスターミナル間のやまと号用として発行されています。
地紋部分を拡大してみました。
SHINJUKU EXPRESS BUS TERMINALという文字が並んでいる単純な地紋で、コピーガードが付けられています。
この券はクレジット決済されていますが、クレジット決済については発行時に印字される機能はなく、「C制」のゴム印が捺印されています。
バスタ新宿では乗車改札時に乗車券の回収がされ、同社とバス運行会社間の精算は実券に基づいて行われるとのことで、この券は手元に残せませんでした。
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