趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
○企 カートレインきっぷ
国鉄時代の1985年頃より、カートレインという自家用車を旅客と同一の列車で輸送するというカーフェリーの列車版のような長距離列車がありました。
(カートレイン積込風景…Bird様のHPより)
東京~東小倉間を結ぶ「カートレイン九州」を始め、東京~白石間の「カートレイン北海道」、「カートレイン釧路」「カートレイン札幌」「カートレインユーロ名古屋」などの列車が存在したようです。
これはJR東日本町田旅行センターで発行された「カートレイン北海道」の乗車券です。「○企 カートレインきっぷ」と名づけられた乗車券は、なぜかマルス発券ではなく、出札補充券が使用されていました。
列車の性格上、発行枚数はさほど多くは無かったものと思われますが、わざわざ「○企 カートレインきっぷ」や「浜松町」「白石」といったゴム印が用意されていました。
当初、カートレイン北海道は山手線の恵比寿駅構内の旧サッポロビール恵比寿工場貨物ヤード(現在の恵比寿ガーデンプレイスが建っているあたり)から発着していましたが、今回御紹介いたしますものは、再開発による同ヤードの閉鎖に伴い、東海道本線浜松町駅構内のヤードに変更されてからのものです。
カートレインきっぷは出札補充券単体での発行ではなく、他に通常の乗車券とは違う、各種登録関係の券が添付されておりました。
添付された1枚目は「A券」と呼ばれるもので、「カートレイン予約券」というものです。
これは指定を取るためのもので「指ノミ券」のようなものと解釈しています。
発車の1時間前までに発駅へ出向くよう、注意書きが記載されています。
L型マルスでの発券ですが、M型で発券されたものもあります。
添付された2枚目は「B券」と呼ばれるもので、「名簿券」というものです。
これは予約内容に乗車する旅客の氏名データを紐付けするもので、モザイクのあるところに旅客(=運転者)の氏名が印字されています。
旅先への往復は鉄道を利用した自家用車の旅を提案したカートレインは画期的な列車のように見えましたが、自家用車を積載する車輌は高速貨物列車の廃止で余剰になったワキ10000型貨車が使用された関係で、積載できる車の寸法が全長4.6m・幅1.6m・高さ1.9mまでという制約があり、これが災いして利用台数は伸び悩み、2005年頃には廃止されてしまっています。