荒川沖から130円区間

今回御紹介いたしますのは、昭和60年4月8日に常磐線荒川沖駅にて印発機で発行された、130円区間ゆきの金額式片道乗車券です。

印発機ではこのような金額式の乗車券を発行することができましたが、発行を依頼しても「券売機で…」と言われてしまうことが多く、よほど乗車券コレクターに理解のある窓口氏に当たらなければあまり発券して貰えなかった気がしますが、この券については例外でした。

当時、荒川沖駅の上野方面の隣接駅は牛久駅でしたが、昭和60年の3月14日から9月16日までの期間、つくば科学万博が開かれ、その期間中のみ荒川沖駅と牛久駅の間に臨時駅である万博中央駅が開設されていました。
荒川沖→牛久間の営業キロは6.6kmであり、また、水戸方面の隣接駅である土浦駅までの営業キロも6.6kmであったため、もともと荒川沖駅には1~3km区間の130円区間の乗車券は存在しませんでした。そのため券売機には130円区間の口座は設備されていませんでした。しかし、万博中央駅までの営業キロは2.7kmしかなかったため、同区間用の130円区間の乗車券については窓口発売のみの対応とされ、このような券が容易に発券できる環境になったわけです。

推測ですが、この処置は券売機を改修する手間を省くことと、自動車による移動が一般的な土地柄さほど需要が見込めなかったこと、近日中に迫っている運賃改定が理由ではないかと思われます。

この券が発売された12日後の同年4月20日には運賃改定が行われ、1~3km区間は140円となり、荒川沖駅から130円区間ゆきの乗車券はわずか37日間のみで消滅してしまいました。

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