武蔵野鉄道 池袋から上り屋敷ゆき 片道乗車券 ~その2

拙ブログ2017年12月1日エントリーの「武蔵野鉄道 池袋から上り屋敷ゆき 片道乗車券」にて御紹介いたしました券ですが、いつ見ても、他の武蔵野鉄道の乗車券と雰囲気が異なっており、違和感を感じておりました。


   

再掲します。
1930(昭和5)年3月に武蔵野鉄道(現・西武鉄道池袋線)池袋駅で発行された、上り屋敷(あがりやしき)駅ゆきの片道乗車券です。桃色PJRてつだう地紋のB型矢印式大人・小児用券です。
上り屋敷駅は起点である池袋駅から0.9km、次の椎名町駅から1.0kmのところにあった駅で、1945(昭和20)年2月に戦況悪化と両駅間が近いことから、最近よく聞くようなコトバですが「不要不急」駅として営業が中止され、終戦後も再開されることがないまま、1953(昭和28)年1月に正式に廃止されてしまった廃駅になります。

通常、武蔵野鉄道の自社完結券はピンク色の縦一条のラインが入っておりますが、他の券を見ますと左端から小児断片辺りまでのスペースのほぼ真ん中にラインが入っているのが一般的で、この券はやたらと右に寄っているのです。


   

1929(昭和4)年8月に発行された同じ区間の乗車券が手元にございますので、比べてみましょう。
こちらが、一般的な様相の同社自社完結の乗車券になります。ラインが左端から小児断片辺りまでのスペースのほぼ真ん中に収まっているのが分かります。


   

並べてみると、かなりラインの場所が違っていることがわかります。
上が一般的な様相の昭和4年発行券で、下が問題の昭和5年発行の券です。


   

境目部分を拡大してみましょう。かなりズレてます。
しかし、下の昭和5年発行の券は何かが変です???


   

下の昭和5年発行の券の地紋を拡大してみました。
すると、分かりました!!
地紋が逆さまです。すべての地紋が上下逆に印刷されていることに気づきました。


   

では、昭和5年発行の券を逆さまにして並べてみました。
すると、何となく、ピンクの線の位置が2枚ともほぼ合うのです。


結論としては、昭和5年発行の券ですが、券紙を逆さまにして印刷されてしまっていることが原因のようです。きっと印刷場の職人さんが、券紙を上下逆さまにして印刷機に入れてしまったのでしょう。
まさか、そんなミス印刷の券が、令和の世の中になった90年経った未来になっても残されているとは思わずに、です。

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