熊本鉄道郵便局 消印 ~その2

前回エントリーで熊本鉄道郵便局の消印を御紹介いたしましたので、今回はその詳細を御紹介いたしましょう。

   

まずは、前回御紹介した消印の写真を再掲します。見た目は郵便局で捺印される、円形印の中央に日付を表示する位置を二本線で区切り、その上下に櫛形模様がある消印である「櫛形印」と同じですが、書かれている文字が通常のものとは異なります。


   

消印部分を拡大して見ました。

一番上の部分(A欄)には、通常の郵便局の消印であればその局の名前が入れられていますが、鉄道郵便局の場合は郵便局本体が移動するからでしょうか、運行区間名が記載されています。
同局の場合は九州地方全域が担当となっており、この印の「門司鹿児島間」は門司駅から鹿児島駅間であることを表しています。

真ん中の部分(B欄)には捺印された日付が入っており、これは通常の郵便局のものと変わりません。

一番下の部分(C欄)には、通常の郵便局の消印であれば捺印された時間帯「0-8.8-12.12-18.18-24」が入れられていますが、鉄道郵便局の場合はA欄の区間を細分化し、区間を特定できるようになっています。
この印の「下二護送・門・熊」の場合、「下二」は下り列車第2便を表し、「護送」は郵便専用の車両に郵便職員が乗務して集配局のある駅で郵袋や小包の受け渡しは行うものの、車内での郵袋の開披や郵便物の区分は行わない輸送形態である「護送便」であることを表し、「門・熊」は門司駅から熊本駅間であることを表しています。

従いまして、この消印のあった車両は護送便車であり、車内では郵袋の開披や郵便物の区分などを行わないことから郵便物へ消印を捺印することはありませんでしたが、駅での受け渡しの際の確認書類に捺印するために設備されていた消印と思われます。


   

逓信博物館のHPにあった、当時の護送便の東京駅での積込風景の写真です。
このように、当時は駅のホームにうず高く郵袋が積まれており、これを車内に投げ込んで積んでいました。

1983(昭和58)年10月の交通公社時刻表から当時の時間を見てみたいと思います。


   

鹿児島本線の門司駅から鹿児島駅間には8本の急行荷物列車が運転されており、この列車は「第2便」ですので、記憶が曖昧ですが、確か31ㇾがそれに相当し、門司駅を1022に発車し、途中東小倉・博多・鳥栖・久留米・大牟田の各駅に停車し、1555に熊本駅に到着した列車であったような気がします。(違っていたらすみません。)

また、この印には独特な表示があり、A欄とB欄の間にあるD欄という部分も使用されており、ここに「西回」と入っています。
これは本来のこの列車の便名を「西下二」便と言い、鹿児島本線・日豊本線経由の門司駅から鹿児島駅間である「東下二」便と区別するためのもので、こちらの列車の消印には「東回」と入れられていました。

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