1954(昭和29)年1月に発行された、近畿日本鉄道(近鉄)大阪線の上本町(現・大阪上本町)駅から近畿日本名古屋(現・近鉄名古屋)駅ゆきの片道乗車券です。
緑色近鉄自社地紋のB型一般式大人・小児用券になっています。
経由欄には「大線(大阪線)・久居経由」と記載されており、大阪線の伊勢中川駅から先、名古屋線久居駅を経由して近畿日本名古屋駅に至る経路であることが分かります。
発行箇所名は裏面に記載されており、「日本交通公社関西支社安土町案内所」発行になっております。日本交通公社は現在のJTBで、現在の店舗一覧からは「安土町案内所」という店名がないので不明ですが、安土町は大阪市中央区の堺筋本町付近になりますので、堺筋通りにありますJTBビルのあたりにあった案内所(支店)だったのではないかと思われます。
御紹介の券は、近鉄が日本交通公社に委託発売していた専用の券であることから、名阪特急の特急券と同時に発売するために設備されたものかも知れません。
発駅である上本町駅は現在の大阪上本町駅で、当時はまだ大阪難波駅までの区間が開業していませんでしたので、大阪駅側のターミナル駅として機能していたと聞いています。
また、当時の名阪特急は、旧関西急行鉄道側の近畿日本名古屋駅~伊勢中川駅間が狭軌(1067mm)でありましたため、現在のような直通運転ではなく、途中の伊勢中川駅での乗換が必要でありましたが、それでも名阪間を3時間台で運転されていたと聞きます。