1937(昭和12)年12月に、鐵道省時代の中央本線武蔵野貨物支線(後の下河原線)の東京競馬場前駅で発行された、中央本線荻窪駅ゆきの片道乗車券です。
桃色GJRてつだうしやう地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものと思われます。
当時の乗車券にはキロ程が印刷されており、同区間の営業キロは18.3粁(km)であったようです。
御紹介の券は管理人の亡父が子どもの頃、地元の駅の駅員さんに貰ったもののようで、本人が使用したものではないそうです。競馬帰りの旅客が使用したものだったのでしょうか、「負け戦」でむしゃくしゃしたのか、貰った時からメチャメチャに折れていたそうです。
裏面です。券番の他、発行駅名が記載されています。
下河原線という線名は正式な線名ではなく、中央本線の支線の通称になります。
国分寺駅から北府中駅を経由して、終点の下河原駅までを結んでいましたが、1934(昭和9)年に東京競馬場が開設されると、途中の北府中駅から分岐して、東京競馬場までの路線が開業し、その終点が東京競馬場前駅になっています。そのため、武蔵野貨物支線は貨物線ではありますが、北府中駅~東京競馬場前駅間については旅客線として開業されていますが、「競馬開催日のみ」営業するという路線であったようです。
その後、戦時中は一時営業を休止したようですが、戦後に通年営業の旅客線として再開しています。
しかし、国鉄は武蔵野線を建設するにあたり、ほぼ下河原線のルートに沿って建設することになり、武蔵野線に線路用地を譲る形で国分寺駅~東京競馬場前駅間の旅客営業は武蔵野線開業日の1973(昭和48)年4月に廃止され、残りの貨物線(北府中駅~下河原駅間)については武蔵野線に編入されたものの、3年後の1976(昭和51)年9月に廃止されています。