JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
◯委 塩原温泉駅発行 東京山手線内ゆき 片道乗車券
1977(昭和52)年3月に国鉄自動車塩原線の駅である、◯委 塩原温泉駅で発行された、東京山手線内ゆきの片道乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
乗車経路は、塩原温泉~(塩原線)~西那須野~(東北本線)~東京山手線内というルートで、国鉄自動車線と鉄道線の通し乗車券になります。
塩原温泉駅から西那須野駅までの塩原線の営業キロは21.7km、西那須野駅から東京山手線内(東京駅)までの営業キロは151.8kmで、合計すると173.5kmの距離になります。
当時の国鉄の旅客営業規則では、普通乗車券の有効期間は、鉄道区間若しくは航路区間内各駅相互発着又はこれらの区間にまたがる乗車券の有効期間は、営業キロが100キロメートルまでのときは1日、100キロメートルをこえ200キロメートルまでのときは2日とし、200キロメートルをこえるものは、200キロメートルまでを増すごとに、200キロメートルに対する有効期間に1日を加えたものとする、と規定されており、御紹介の券の鉄道区間の有効期間は2日間ということになります。
さらに、鉄道又は航路と自動車線との相互発着(自動車線を通過する場合を含む。)の乗車券の有効期間は、上記の有効期間に1日を加えたものとする、とされておりますので、御紹介の券は鉄道区間の有効日数に自動車線との相互区間に伴う加算によって、有効期間は3日ということになります。
裏面です。
東京山手線内各駅では下車前途無効であることのほか、自動車線内は下車前途無効ではありますが、温泉街および牧場という観光地の最寄りである福渡温泉停留所・大網温泉停留所および千本松停留所については途中下車ができる旨の記載があります。
西武鉄道 西武秩父駅発行 精算済証
1978(昭和53)年頃に、西武鉄道秩父線の西武秩父駅で発行された精算済証です。
黄色せいぶてつどう自社地紋の券売機券紙をカットして作成されたものです。
当時使用されておりましたスミインク式券売機用の券紙が使用されており、この券紙は横に繋がったロール状のものであったようです。
捺印されております「精算済証 西武秩父駅」のゴム印は一体型になっており、よく見ますとカットすべき横ラインもあったようで、その辺を鋏で切断して作成されていたようです。
この券は改札内にあります精算所で精算した際に渡され、改札口を出場する際に回収されました。特に枚数管理などは行っていないようで、実際に管理人が精算をした際の1枚を頂くことができました。
現在、同社では乗車券類はPJRてつどう地紋の券紙に切り替えられており、自社地紋は特別補充券や一部の企画乗車券などに残っているだけで、黄色い地紋については見かけなくなってから20年以上が経過しています。
京浜急行電鉄 京急ウィング号 着席指定券
前回エントリーで京急電鉄のウィング・チケットを御紹介いたしました。今回は、ウィング・チケットと呼ばれる前に同社が発行しておりました、京急ウィング号着席指定券を御紹介いたしましょう。
同社では現在ではモーニング・ウィング号とイブニング・ウィング号を運行しておりますが、かつては「京急ウィング号」という名称で、1992(平成4)年から平日の夕方・夜間の運転のみ行われていました。
2015(平成27)年に平日朝のラッシュ時間帯に運転されるモーニング・ウィング号が運転され、2019(令和元)年には平日夕方および夜間に運転されている京急ウィング号がイブニング・ウィング号に改称されて現在に至っています。
1994(平成6)年12月に発行された、京急ウィング号時代の着席指定券です。
水色PJRてつどう地紋のA型大人専用券で、山口証券印刷で調製されたものと思われます。
当時の京急ウィング号は4両固定編成が2連で組成された8両編成で運転され、座席指定はされておらず、「前4両」と「後4両」という大雑把な括りで列車が指定されていました。
京急電鉄 品川駅発行イブニング・ウィング号 ウィングチケット
2022(令和4)年4月に京急電鉄品川駅の券売機で発行された、イブニング・ウィング号用のウィングチケットです。
イブニング・ウィング号は平日の夕方から夜間に運転される座席指定制の列車で、品川駅を出発すると途中の横浜駅は通過となり、上大岡駅まで止まりません。
桃色PJRてつどう地紋のA型大人専用券で、縦型の座席指定券になっています。
券面には乗車日および列車指定情報が記載され、乗車する際に券面のQRコードを乗車口の改札係員に提示して乗車します。
イブニング・ウィング号に乗車する際には乗車券のほかに今回御紹介の座席指定券であるウィング・チケット(Wing Ticket)が必要になります。ウィング・チケットは乗車駅のウィング・チケット専用券売機で発売されている他、「KQuick」というイブニング・ウィング号やモーニング・ウィング号といった同社の座席指定列車の空席情報の提供や、座席指定券を購入できるサイトで購入することができます。
東那須野駅発行 普通入場券
前回エントリーで東北新幹線の大宮~盛岡間が開業した際に駅名改称された磐城西郷(現・新白河)駅の普通入場券を御紹介いたしました。
東北新幹線が開業した1982(昭和57)年6月には、磐城西郷駅の他にもうひとつ、やはり新幹線の駅になるタイミングで駅名が改称された東那須野駅という駅がありました。
1982(昭和57)年5月に東北本線東那須野駅で発行された普通入場券です。白色無地紋のB型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
東那須野駅は黒磯駅と西那須野駅の間にある小規模の駅で、有人駅ではありましたが、急行などの優等列車の停車しない駅でした。
黒磯駅は同駅以南が1,500 Vの直流電化方式、以北が20kV・50 Hz交流電化方式とされ、地上切り替え方式の交直接続設備が設置されていた関係から要衝駅となり、すべての優等列車が停車もしくは運転停車する駅となっており、反対側の西那須野駅は温泉郷を控えていたために特急などの優等列車が停車する駅になっていました。
しかし、東北新幹線の大宮~盛岡間が開業した際に同駅が新幹線停車駅に選定され、開業した1982(昭和57)年6月に那須塩原駅に改称されています。
そして現在では、在来線である東北本線の定期優等列車は廃止されてしまい、かつて小規模の普通列車しか停車しなかった東那須野駅であった那須塩原駅が、界隈では一番利用客の多い駅になっています。
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