京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

Imagine

2010-04-06 | インポート

 先日、エージェントさんの研修会に参加してまいりました。

 研修会といっても、堅苦しいものではなく、ちょっとした観光ツアーみたいなものです。

 毎年行われるのですが、今年のテーマは、ずばり坂本龍馬。

 今年は大河ドラマの主人公が龍馬ですので、そのゆかりの地も注目を浴びそうです。

 京都は、龍馬が活躍した、主要な土地のひとつ。

 京都のあちこちに彼の足跡が残っています。

 そのうちで最も有名なものといえば、やはり寺田屋でしょうか。

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 寺田屋は京都市の南、伏見の地にあります。

 市街地からは少しばかり離れていますが、ここは京都の重要な土地です。

 京都の都市としての最大の欠点は、海に面していないこと。

 電車や飛行機がなかった江戸時代、人や物の移動に、海運は大きな役割を果たしていました。

 そんな時代に、海に面していないことは、デメリットだったわけです。

 そのデメリットを補っていたのが、この伏見でした。

 伏見と大坂とは、宇治川→淀川でつながっていて、その間を船が往来していたのです。

 つまり、伏見は京都の玄関口だったわけです。

 そして伏見からは高瀬川を通じて、京都へと物資が運搬されていました。

 物資の中継地点である伏見は、大いに栄えたそうです。

 幕末の重要舞台となったのには、そういう背景があったわけです。

 寺田屋は、その伏見の船宿の一つでした。

 この寺田屋を有名にしたのが、二つの寺田屋事件です。

 一件目は、1862年に起きた、薩摩藩士同士の斬り合いなった事件。

 そしてもう一件が、1866年の、伏見奉行所による、坂本龍馬襲撃事件です。

 襲撃事件、といってしまうと、奉行所が完全に悪役な感じですが。

 それはともかく、この事件は龍馬にまつわるエピソードの中でも、最も有名なものです。

 風呂に入っていたお龍が、いち早く奉行所の存在に気づき、裸のまま階段を駆け上がって龍馬に危険を知らせる。

 そんなドラマが繰り広げられたのが、この寺田屋というわけです。

 とはいえ、当時の建物がそのまま残っているわけではありませんが。

 それでも、復元された寺田屋からは、十分想像力をかきたてられます。

 そのほかにも、伏見には古い建物が多く残されています。

 よく知られている通り、伏見は酒造の町で、酒蔵が多く、その古い蔵が残っています。

 運河沿いに見える、茶色の板張りに白壁、という構図は絵になり、春の散歩には最適。

 また、お酒を飲ませてくれる酒蔵も多いので、日本酒好きにはたまらないでしょう。

 大小いろいろな蔵がありますから、好みのお酒を探してみるのも良いかもしれません。

 市街地から離れているので、観光ルートに組み込みにくいところではあるのですが。

 だからこそ、落ち着いた風情も味わえる、というメリットもあります。

 龍馬も伏見の酒を飲み、この風景の中を歩いたのだな、と想像してみるのは、楽しいものだと思います。

 ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

”あいらんど”


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