京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

蝉時雨

2009-08-26 | インポート
蝉時雨
つい2、3日前までは朝から蝉の鳴き声が気になってしょうがなかったというのに、この涼しさで急に静かになった気がします。と言うより、蝉の種類が代わったのでしょう。大袈裟かもしれませんが、一気に季節が進んでしまいました。
蝉の鳴き声というと暑い昼下がりのジージージージーとうるさく、暑さを倍加させるような様が相場だった気がするのですが。蝉時雨という言葉もこの頃の様を指すのではないでしょうか。ところが今では、朝からシャーシャーシャーシャーと、本当に気に掛かりました。クマゼミがアブラゼミに取って代わったということなのでしょうか。これも温暖化の現れの一つなのかもしれません。
ここ某大学のキャンパスでは、大勢はツクツクボウシの鳴き声が占めますが、カナカナカナカナとヒグラシもいるようです。かつての主役アブラゼミもいました。だけどちょっと元気がないですねー。一瞬の生命じゃないか、頑張れ。 〓K.Sasano〓

〓K.Sasano〓


百日紅

2009-08-24 | インポート
百日紅
夏を代表する花にサルスベリがあります。川端通(写真は正面橋付近)をはじめ街路樹や公園でよく目にします。 百日紅く咲くから漢名が百日紅(ひゃくじつこう)と言うのは分かりますが、これをサルスベリに当てたのはかなりのものだと思います。もともと紅だけだったのでしょうが、今では、白や淡い紅もありますから当てはまらなくなったようにも思えます。サルスベリの名前が樹肌から来ているのは知られています。つまり、その表面がツルツルで猿も滑って登れないということです。確かに、言いえて妙だなと思います。中国原産で唐の都、長安の宮廷に多く植えられていたとか。夏を代表するこの花、梅や桜と違い、愛でることをする方はあまりいないと思いますが、彼の国の古人はこの花を愛で夏を遊んだのかも知れません。 〓K.Sasano〓


猫の額と鰻の寝床

2009-08-22 | インポート

    

    家の作りやうは、夏をむねとすべし。

 

 この一文はよく知られるように、『徒然草』の中の一節です。

 つまり、家を作るのはまず夏に住むことを考えて作りなさい、ということですね。

 この後に、「冬はいかなる所にも住まる。」と続くのですが、それはどうなんでしょうか。

 寒いのは寒いので、まあ、大変ですけど。

 この後に、「暑き頃わろき住居は、堪へがたき事なり。」と続くのは、その通り、と納得。

 現代ではクーラーがあるので、実感も薄いのかもしれないですが。

 クーラーを使わないと決めてみると、実感が増すわけです。

 特に京都の暑さは厳しいことで有名です。

 当たり前ですが、それは今も昔も変わりないでしょう。

 『徒然草』の著者は、兼好法師こと吉田兼好。

 銀閣寺の少し西に、吉田山というのがあって、そこに吉田神社があります。

 兼好の父はこの吉田神社の神官でした。

 でも当人は坊さん。

 それはともかく、つまりは、吉田兼好は京都の人、ということなわけです。

 京都は昔も暑かったからこそ、こういう文章を書いたんだろうなあ、と、感慨も深いわけです。

 この「夏をむねと」した家の代表が、いわゆる京町家ではないでしょうか。

 京町家というのは、鰻の寝床、とよく言われます。

 つまり、間口が狭くて奥行きが長い、というやつです。

 どうしてこういう形態に行き着いたのか、諸説はいろいろあるようです。

 一つの説に、風の通りをよくするため、というのがあります。

 縦に一本廊下を通し、坪庭を造り、風の抜ける道を作るというわけです。

 一理あるとはいえます。

 京町家の中には、常時あるいは臨時に公開しているところも多いです。

 この夏にも特別公開でいくつかの町家が公開されていました。

 こういった町家を一度訪れてみてはいかがでしょうか。

 昔の京都の人たちが、クーラーのない夏を少しでも快適に過ごすためにどのように工夫していたのか。

 それを体験してみるのも一興かと思います。

”あいらんど”


咲いた咲いた、赤、白、黄色、黒、青

2009-08-19 | インポート

 東山に青蓮院というお寺があります。

 歴史も古く、格式も高いお寺で、すばらしい庭園もあります。

 そしてここにあるクスノキは、京都市の天然記念物に指定されています。

 非常に大きなクスノキで、見上げると圧倒される感じです。

 京都は今、夏真っ盛りという暑さの中にあります。

 暦の上ではもう秋なんですけど。

 そんな暑さの中、京都散策などするのは、大変。

 そんな時、この青蓮院の前を通りかかると、ほっとします。

 クスノキが日陰を作ってくれているのです。

 壁の白と影の黒、そのコントラストが印象的な光景を演出しています。

 夏の強い日差しこそ、このコントラストをより強調するわけです。

 夏だからこそ楽しめる風景の一つだと思います。

 さて、この青蓮院ですが、もう一つ有名なものがあります。

 それが不動明王像で、国宝に指定されています。

 青不動と呼ばれる、大変由緒正しい絵です。

 この秋、これが一般公開されます。

 青蓮院にての公開は史上初めてのことといいますから、この機会を逃したくないところです。

 9月からのことですので、夏の日陰のコントラストは見ることができないでしょうけど。

”あいらんど”


空から見ても大文字

2009-08-16 | インポート

    「(前略)京都へ来て叡山が見えなくなっちゃ大変だ」

 

 夏目漱石『虞美人草』の冒頭に近いところで、このような主人公のセリフがあります。

 「叡山」というのは、いうまでもなく、比叡山のことです。

 この小説は明治時代後期のもので、漱石自身、執筆に先立って京都を訪れています。

 この作品も同時代を舞台としており、つまり、ここでいう京都、というのは、明治後期の京都というわけです。

 さて、その心積もりで現代の京都を歩いてみると、こいつは大変だ、となってしまいます。

 現代の京都では、街中で比叡山が見える場所はかなり限られてしまいます。

 それは西の愛宕山にしても、あるいは東山三十六峰にしてお、事情は似たようなもの。

 まるで見えないわけではないですが、見渡せるような場所もほとんどありません。

  

 さて、本日は五山送り火。

 五山の送り火も、やはり同じような事情。

 年配の方の話によく出てくるのは、

「昔はうちから五山全ての送り火が見えたんだけど……」

 といったような言葉。

 全てではなくても、鳥居形以外は全部見えた、といったような具合です。

 今では望むことのできない光景。

 その時代に生きていなかった者としては、知っているだけでも羨ましい話。

 しかし、知っているからこその寂しさ、というのもあるのでしょう。

 

 かく言う当館も、低い建物ではないんです。

 そのお詫び、というわけではないですが、この日、宿泊のお客様に屋上を解放させていただいております。

 五山全部、というのはちょっと無理ですが。

 大文字に関しては、かなり間近に見ていただけます。

 自慢にしてしまっては、近隣の方に申し訳ないですが。

 なかなか贅沢な時間をすごすことができます。

 今年間に合わなかった方は、是非来年にでもお越しください。

”あいらんど”


明日のために・・・。

2009-08-15 | インポート

Photo_2

京都の五山送り火の用意が進んでいます。
昨日の写真の続きです。

民族大移動という言葉が死語になったような今日は天災にも見舞われて大変な思いをされている方も多いと思います。
Uターンラッシュで今頃混雑の中車で移動中の方も、明日一日お休みで、月曜日からは平常通りに日常の生活が待っているのでしょうね。
京都でも恒例の送り火が開催される予定ですが、本来の宗教行事からかけ離れてイベントのような雰囲気になってきているので、少し寂しい気がしますが、なんにせよ皆様が見る大文字の送り火は今年もしっかりと魂のお帰りの道しるべになってくれるでしょうし、私たちに感動を伝えてくれるのでしょうね。


京都もあちこちで万灯会が開催されています。

2009-08-15 | インポート

Photo 大原三千院といえば思い出すのは小柳るみ子の歌なのは歳なのでしょうか・・・。
毎年お参りには行くようになりなんとなく、夏の夕涼みと、ご門主様のお話がマッチして独特な雰囲気をかもし出しているのがたまりません。
お墓参りはお盆にと教えられて育ち、また子供たちにも伝えてゆく習慣・慣わしは日本人として忘れたくないものですね。
でも、幻想的な空気を味わいに行くだけでも心が浄化されたようでありがたい気持ちになるのではないでしょうか・・・。


お盆の風情

2009-08-14 | インポート

Daimonzi 京都市内では五山送り火(大文字焼き)の用意が始まりました。
今日の朝の大文字のアップ写真です。
先祖の霊を迷わずにお帰りいただくために燈す五山の火は毎年感謝の念で見ています。
今ここにいるのはご先祖様のおかげなどと言うと宗教がかって聞こえますが、この送り火も目にするとありがとうございます。おかげさまですと感じてしまうのは、年なのでしょうか・・。


被災者の方、がんばってください!

2009-08-11 | インポート

8月になってから、全国各地での大雨・洪水・・・

そして、今日8/11未明の静岡県の震度6弱の大地震・・・

日本全国の多くの皆様が、被災に遭われたことと存じます。

いろいろ大変なことが山積みかと思いますが、本当に本当にがんばってください!

1日も早く普段どおりの生活を取り戻されることを、心よりお祈り申し上げます。

ホームラン


みーつけた!! パート2

2009-08-10 | インポート

Img_0765 昨日京都の繁華街、四条京阪(四条大橋)のところで元気いっぱいに咲き誇る”さるすべり”が目に入りあまりにも素晴らしく、力強く咲き誇っていたので写真に・・・。
ニュースでもなんとなく暗い話が多い中、原爆の廃絶を願っての各地でイベントが開催と聞きました、もちろん戦後生まれのわたしですので、全く知りませんがメディアでの報道や特番での放映でなんとなく知っていてまるで人ごとのように感じていたのですが、こんなにいっぱいに咲いている可憐な花の生きざまを感じるとみんなが混ざり合って、命の尊さを実感、(大げさでしょうか)生きていることに感謝と感じた瞬間でした。
はー子