先住民族関連ニュース

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<ウポポイ オルシぺ>23 猛威振るった天然痘の記録 接触低減へ住民が避難

2021-09-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/20 05:00
 博物館の基本展示室には「私たちの歴史」という展示コーナーがあり、アイヌ民族の歴史を解説しています。
 今回は、17世紀以降に道内でも確認できる天然痘流行について紹介します。
 天然痘とは天然痘ウイルスによる感染症で、患者の唾液の飛沫(ひまつ)や発疹のうみなどに触れることで感染します。1980年(昭和55年)に世界保健機関(WHO)が天然痘撲滅宣言をしており、既に自然界からは根絶しています。
 国内の流行の古い記録ですが、730年代、九州での流行の記録は天然痘である可能性が高いと言われています。道内では17世紀以降に天然痘流行と思われる文献記録を見いだすことができます。
 冒頭に紹介した展示コーナーでは、19世紀前半のアイヌの人たちの人口減少の原因の一つとして、天然痘などの流行があげられることを紹介しています。
 当時の道内における流行の様子はどのようなものだったのでしょうか。
 流行の経過について記録が残っている1845年(弘化2年)、現在の新ひだか町で起きた天然痘流行の事例のうち、旧三石町内での様子を紹介します。
 その記録とは「東蝦夷地シツナイミツイシ蝦夷人之内疱瘡煩候者有之候付見廻出役被仰付罷越鷲木村ヨリシャマニ迄場所々取調候一件日記」という古文書です。筆者は不明ですが、内容から松前藩の役人によるものと考えられます。
 記録によると、45年5月中旬、三石川下流付近に住んでいた女性がひどい熱を発しました。5日後には同じ地域の男性が発熱し、吹き出物が出ていたので、現在の様似町から往診してもらったところ、天然痘と診断されました。患者は付き添いがつけられ、服薬治療になりました。付近に住む患者以外の人々は居住地域ごとに避難小屋へ行きました。三石川下流付近の人々は同川の河口から10キロほど上流へ、鳧舞(けりまい)川下流付近の人々は同川の河口から12キロほど上流へ避難しました。結局、三石川沿いの地域で感染者が11人発生し、このうち8人が亡くなり、7月初めには流行は収まりました。
 ここで注目すべきは流行時の川の上流への避難だと思います。現代風にいえば、人と人との接触機会の低減をはかっていたと言えそうです。【文・写真 永野正宏=国立アイヌ民族博物館(文化庁調査官)】

 新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が延長されたことを受け、国立アイヌ民族博物館を含む「ウポポイ(民族共生象徴空間)」は30日まで臨時休業中です。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/590963

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アイヌ民族の海洋船「イタオマチプ」 復元し小樽で進水式

2021-09-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/19 21:20

進水式でイタオマチプに乗り込む参加者たち
 【小樽】アイヌ文化の保存に取り組むオホーツク管内美幌町のアイヌ文化学術研究会(花岡知之代表)が19日、アイヌ民族が外洋の航海に使ったイタオマチプ(板綴舟(いたつづりぶね))のチプサンケ(進水式)を、小樽市内の蘭島海水浴場で行った。
 イタオマチプは、かつてアイヌ民族が交易に用いていた海洋船。舟の製作は、進水までの過程を記録して後世に伝えようと、同会が企画した。アイヌ伝統工芸家の成田得平さん(78)=旭川市在住=ら4人に依頼し、昨年10月から今年3月にかけて作り上げた。全長12・3メートル、幅1・7メートルで、樹齢約200年のアカエゾマツなどを使っている。
 進水式には同会の関係者ら10人が参加。マツとササの葉を束ねたタクサと呼ばれるおはらいの道具を舟にかざした後、参加者が舟に乗り込んだ。波が高かったため沖には出なかったが、成田さんは「海洋船としての役割を伝えられて良かった」と話していた。
 同会は舟を今後、札幌市内で展示したい考え。展示後は道内の施設に寄贈することを検討している。(日野夏美)
◆「イタオマチプ」と「チプサンケ」の「プ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/591004

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浦幌 ラポロアイヌネイションがサケの遡上を迎える儀式

2021-09-20 | アイヌ民族関連
十勝毎日新聞 2021/09/19 12:42

儀式でサケへの感謝と豊漁を祈願するラポロアイヌネイションのメンバーら(19日午前11時20分ごろ)
 【浦幌】浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会、差間正樹会長)は19日、サケの遡上(そじょう)を迎える儀式「アシリチェプノミ」を執り行い、神々に祈りをささげ、豊漁を祈願した。
 伝統文化の継承を目的に、昨年に続き道からの許可を得て、町十勝太を流れる浦幌十勝川で、自作の丸木舟を使ったサケ漁を実施。この日朝、長根弘喜前会長らが雄のサケ1匹を捕獲した。
 「カムイノミ」の儀式では、同団体のメンバーら12人が十勝川や川漁などの神を示す「イナウ」(木弊)に供物をささげ、今後の豊漁を祈願。途中、観覧者を交えて輪になって踊り、長根前会長ら3人による刀を使った勇壮な舞も披露された。終了後、差間会長は「若い人たちがこの儀式を受け継ぎ、来年も無事にサケを迎えることができれば」と話した。
 同団体は国と道に対し、アイヌ民族が地元の河川でサケを捕獲することは先住権の一部と主張し、サケ漁を禁じる法律などが適用されないことの確認を求めて札幌地裁に提訴している。この日は市川守弘、長岡麻寿恵の両弁護士らも会場を訪れ、儀式を見守った。(小縣大輝)
https://kachimai.jp/article/index.php?no=542513

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