北海道新聞 09/18 05:00
17日に告示された自民党総裁選で、河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が所見発表演説会に臨み、論戦を本格化させた。4氏はいずれも新型コロナウイルス対策を重点に掲げたが、道民はさまざまな思いで受け止めた。
長期化するコロナ禍で、道内でも立場が不安定な非正規労働者は職を失うなど苦境に陥っている。演説会で岸田氏は、非正規などに対して「きめ細やかな対応をする」と明言。野田氏も「貧困などにしっかりと目を向ける」と強調した。
個人加入できる労働組合「さっぽろ青年ユニオン」(札幌)の岩崎唯委員長(30)は「評価できるが、コロナ禍で国の社会的弱者への支援は不十分で無視されてきた」と指摘。その上で「非正規労働者や介護士、保育士など低賃金で働く人への経済的支援はしっかり行ってほしい」と求めた。
演説会に続く共同記者会見で、4氏は憲法9条への自衛隊明記など党の改憲案4項目に持論を述べた。「あさひかわ西地域九条の会」(旭川)の平山沙織事務局長(51)は「総裁任期中の改憲に踏み込んだ候補もおり、国民不在のまま一方的に進む恐れがある」と危機感を示した。
一方、演説会で北方領土問題とアイヌ民族政策に触れた候補はいなかった。
「生きている間に、領土問題に道筋を付けてもらうことが元島民の願いだけに残念」。歯舞群島多楽島の元島民、福沢英雄さん(81)=根室管内標津町=は寂しげに話した。ロシアとの交渉は停滞したままで「一歩でも前に進めることを考えてほしい」と訴えた。
北海道アイヌ協会の中村吉雄副理事長(71)は「菅義偉首相がアイヌ政策に積極的だっただけに、候補者が誰も触れなかったのは大変悲しい」と落胆した。
アイヌ民族の声を政策に反映するための「アイヌ政策推進会議」の開催が今年6月まで2年半空き、停滞感を危惧する。「新総裁はアイヌ民族に向き合い、これまでの信頼関係を引き継ぐ姿勢を見せてほしい」と注文を付けた。(佐藤圭史、山田一輝、金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/590577
17日に告示された自民党総裁選で、河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が所見発表演説会に臨み、論戦を本格化させた。4氏はいずれも新型コロナウイルス対策を重点に掲げたが、道民はさまざまな思いで受け止めた。
長期化するコロナ禍で、道内でも立場が不安定な非正規労働者は職を失うなど苦境に陥っている。演説会で岸田氏は、非正規などに対して「きめ細やかな対応をする」と明言。野田氏も「貧困などにしっかりと目を向ける」と強調した。
個人加入できる労働組合「さっぽろ青年ユニオン」(札幌)の岩崎唯委員長(30)は「評価できるが、コロナ禍で国の社会的弱者への支援は不十分で無視されてきた」と指摘。その上で「非正規労働者や介護士、保育士など低賃金で働く人への経済的支援はしっかり行ってほしい」と求めた。
演説会に続く共同記者会見で、4氏は憲法9条への自衛隊明記など党の改憲案4項目に持論を述べた。「あさひかわ西地域九条の会」(旭川)の平山沙織事務局長(51)は「総裁任期中の改憲に踏み込んだ候補もおり、国民不在のまま一方的に進む恐れがある」と危機感を示した。
一方、演説会で北方領土問題とアイヌ民族政策に触れた候補はいなかった。
「生きている間に、領土問題に道筋を付けてもらうことが元島民の願いだけに残念」。歯舞群島多楽島の元島民、福沢英雄さん(81)=根室管内標津町=は寂しげに話した。ロシアとの交渉は停滞したままで「一歩でも前に進めることを考えてほしい」と訴えた。
北海道アイヌ協会の中村吉雄副理事長(71)は「菅義偉首相がアイヌ政策に積極的だっただけに、候補者が誰も触れなかったのは大変悲しい」と落胆した。
アイヌ民族の声を政策に反映するための「アイヌ政策推進会議」の開催が今年6月まで2年半空き、停滞感を危惧する。「新総裁はアイヌ民族に向き合い、これまでの信頼関係を引き継ぐ姿勢を見せてほしい」と注文を付けた。(佐藤圭史、山田一輝、金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/590577