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本別イチャルパ、20年ぶり復活 実行委、25日開催 次世代に継承へ 阿寒アイヌ協会協力

2021-09-25 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/24 19:08
2001年9月22日に町内で開催されたイチャルパ(本別アイヌ協会提供)
【本別】本別アイヌ協会(小川哲也会長、20人)は25日、伝統の先祖供養祭「イチャルパ」を20年ぶりに町内の上本別生活館周辺で復活させる。イチャルパはアイヌ民族の生活に根ざした重要な儀式だが、地元では具体的な作法などを知る人が少なくなり、長らく途絶えてきた。今回は本別出身者がいる阿寒アイヌ協会などの協力で再現し、次世代に継承する「本別イチャルパ」として残していきたい考えだ。
 イチャルパは祭具などを使って先祖の霊を弔う。神々に祈りをささげる「カムイノミ」と並ぶ儀式として知られる。本別では2001年9月22日に公式開催されたが、イチャルパに関する文献や資料は残されておらず、祭具の作り方や作法などを知る人もほとんどいないのが現状という。
 北海道アイヌ協会理事でもある小川会長は先人の伝統文化を風化させまいと企画した。公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌)の国内文化交流助成を受け、実行委形式で行う。阿寒アイヌ協会の広野洋会長らにイチャルパの作法などを学び、ヤナギの木で祭具のイナウ(木幣)を製作するなど準備を進めてきた。
 25日は雨天決行で午前10時スタート。イチャルパではイナウやトノト(酒)を自然界の神々にささげる。さまざまな果物や料理、菓子などを供え、故人に思いをはせながら現世の無事を祈る。この後、動植物などを表現した多種多様な古式舞踊を披露する。当初は伝統料理のオハウ(煮込み汁)などを振る舞う予定だったが、新型コロナウイルス感染対策で取りやめる。
 小川会長は「イチャルパには地域性があり、先人の知恵や先輩の助言を生かしながら本別でも生活習慣の一部として定着させていきたい。アイヌ文化を広く理解してもらうきっかけになれば」と話している。(岡田圭史)
※「イチャルパ」の「ル」は小さい文字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/592708

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県内初、アイヌ文化フェス 講演や舞踊、口承文芸 来月2日高崎で /群馬

2021-09-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/9/25 地方版 有料記事 529文字
 アイヌ民族の音楽や舞踊、伝承などを広く紹介する「アイヌ文化フェスティバル」が10月2日、群馬音楽センター(高崎市高松町)で開かれる。公益財団法人アイヌ民族文化財団が主催する。同フェスは1998年から全国各地で開催しており、県内での開催は初めて。
 ステージは同日午後1時に開演。北海道大アイヌ・先住民研究センターの山崎幸治准教授が「アイヌのくらしと民具」と題して基調講演をするほか、国の重要無形民俗文化財に指定された「アイ…
この記事は有料記事です。 残り318文字(全文529文字)
https://mainichi.jp/articles/20210925/ddl/k10/040/122000c

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多様な音楽文化発信 10月23、24日福野で「スキヤキ」、アイヌ民謡含む国内6組

2021-09-25 | アイヌ民族関連
北日本新聞 2021/09/25 00:35

 南砺市福野地域で10月23、24日に開かれるワールドミュージックの祭典「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2021」の出演者が決まった。新型コロナウイルスの影響で海外のアーティストは招待せず、国内在住の6組が出演する。アイヌ民族やインドネシアの伝統音楽など多様な音楽文化を発信する。 (堀佑太)
 注目アーティストの一組は、アイヌ民謡「ウポポ」にロックやレゲエなど現代音楽を融合させたバンド「オキ・ダブ・アイヌ・バンド」だ。アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」にベースやドラムを重ねた厚みのある音が特徴で、欧米やアジアなど世界各国の音楽イベントに出演している。
 音楽ユニット「滞空時間」はインドネシアの伝統打楽器「ガムラン」やトリニダード・トバゴ発祥の打楽器「スティールパン」を演奏する。音楽家で影絵師の川村亘平斎(こうへいさい)さんが主宰し、影絵を取り入れた舞台演出も魅力だ。
 このほか、自作の竹製楽器を用いた埼玉県秩父市発のバンド「アジャテ」やアンデス音楽を演奏するギタリスト、笹久保伸と女性シンガーソングライター、マルコポロポロによるユニットなどが出演する。
 スキヤキのプロデューサーで南砺市福野文化創造センター館長代理のリバレ・ニコラさんは「日本のワールドミュージックの今を発信したい」と話す。
 昨年は新型コロナの影響で中止し、開催は2年ぶり。30回目の今年は感染防止のため、同センターでステージ演奏のみ行う。1席ずつ座席の間隔を空けて観客を入れ、公演の様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」で生配信する。
 チケットの一般発売は25日から。問い合わせは同センターの「スキヤキ」実行委員会事務局、電話0763(22)1125。北日本新聞社共催。
https://news.goo.ne.jp/article/kitanihon/region/kitanihon-20210925003500.html

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【続日本100名城・志苔館(北海道)】海を渡り和人が築いた室町時代の城

2021-09-25 | アイヌ民族関連
城びと 2021/09/24 18:00

入口にある志苔館の看板と碑
15世紀頃、アイヌの人々が暮らす北海道に本州から渡った“和人”が築いた12の館(城)「道南12館」をご存知でしょうか? 道南12館の一つ「志苔館(しのりだて)」は、函館空港から車で5分ほどで到着するアクセス良好のスポット。アイヌの人々との戦いで2度の落城を経験し、江戸時代を前に役目を終えたこの館(城)跡を探検してみましょう!
築城年代が推定できる道内最古の和人の城「志苔館」
現在の北海道はかつて「蝦夷地」と呼ばれ、狩猟や漁労を生業に暮らすアイヌ民族が住む地域でした。蝦夷地の南部には本州から「和人」が移り住んだ地域もあり、鎌倉時代には彼らをまとめる役目として、津軽半島の十三湊(とさみなと)に拠点を置く安藤氏(のちの安東氏)が選出されています。安藤氏は、執権北条氏の家臣として流刑になった罪人の管理も行っていましたが、海上貿易で財を成し「蝦夷管領」と呼ばれていました。
15世紀になると、渡島(おしま)半島の海岸線に沿って和人の館(城)を築きます。これらが「道南12館(どうなんじゅうにだて)」です。なかでも最東端に位置しているのが「志苔館」で、松前藩の史書『新羅之記録』によれば、館を築いたのは小林太郎左衛門尉良景という人物でした。小林氏は安東氏の家臣にあたり、ちなみに先祖は上野国(現在の群馬県)出身だそう。
東北の南部氏と戦っていた安東氏は、道南12館築城を皮切りに勢力を立て直そうとしましたが……一方で、アイヌの人々は生活を圧迫されるようになっていきました。
https://news.goo.ne.jp/article/shirobito/region/shirobito-20210912171053726.html

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結婚後にトイレ禁止、死者のパレード開催……、世界の「驚くべき風習」とは?

2021-09-25 | 先住民族関連
Pen Online 9/24(金) 17:07配信
「奇妙な風習? そう、人はたいてい、自分たちの慣習を当たり前だと思っているが、そうした慣習も、一歩離れたところから見るとかなり奇妙に感じられることがある。」(P6)
世界各地の“奇妙な”風習や儀式、祝祭、食文化など150の事例を取り上げている本書『世界の奇習と奇祭 150の不思議な伝統行事から命がけの通過儀礼まで』。我々の常識をことごとく覆す、風変わりでショッキングな慣習がずらりと並び、なかには、いまなお受け継がれているものもある。アメリカ在住のエディター兼コラムニストのE・リード・ロスがジョークを交えながらユーモラスに伝えている。一部を紹介しよう。
カエルのジュース
南米ペルーの一部地域では、カエルのジュースが飲まれているという。公用語のスペイン語で「フーゴ・デ・ラナ」といい、カエル一匹丸ごとを数種類のハーブや蜂蜜と一緒にミキサーにかけて作られる。古代より勃起障害に効果があると伝わり、「ペルーのバイアグラ」とも呼ばれる。このジュースは現地で大人気だそうで、原料として使われるカエルの種が絶滅の危機に瀕するほど。ペルー政府が種の保護対策を講じているとのことだ。
ワニのかみ傷
パプア・ニューギニアのセピック川ほとりに住む先住民族は、人間の先祖がワニであると信じている。この地域の若い男たちの体にはでこぼこした傷跡がある。少年から大人になるにあたって、竹で作った道具で体に切り込みを入れる儀式が行われるのだ。傷跡はワニの歯形を意味し、先祖とされるワニへの敬意や大人の男の証明の意味合いがあるという。若い女がかみ傷をつける村もある。ワニにかまれるほどの痛みに耐えることで、人は強く、賢くなると考えられているという。
文・一ノ瀬 伸
https://news.yahoo.co.jp/articles/1db0041271950f00ce9207df8cda3a2c1d43ab70

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来月2日から特別展 ビーズをテーマに 国立アイヌ民族博物館

2021-09-25 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2021/9/24配信
 白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)は10月2日から、「ビーズ アイヌモシリから世界へ」と題した特別展を開催する。10万年前に誕生し、世界のさまざまな民族が作り出してきた装飾品ビーズをテーマ…
この続き:485文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/58558/

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島を歩く 日本を見る 古代ロマンと被災の陰で 奥尻島(北海道奥尻町)

2021-09-25 | アイヌ民族関連
産経新聞 2021/09/24 09:59

奥尻島を象徴する奇岩「なべつる岩」。鍋の取っ手(つる)に似ているのが名前の由来© 産経新聞 奥尻島を象徴する奇岩「なべつる岩」。鍋の取っ手(つる)に似ているのが名前の由来
北海道の最西端に位置する奥尻(おくしり)島は、縄文初期から長い歴史を刻んできた。島名はアイヌ語の「イクシュン・シリ(向こうの島)」が由来となり、晴れた日は北海道本島から雄大な島が望める。船で向かうと、島のシンボルである〝なべつる岩〟が港近くで迎えてくれる。緑豊かな島の清涼な空気に、肩の力がふっと抜ける。
奥尻島には数多くの遺跡が点在する。島内最大級の青苗遺跡からは、縄文時代や北海道特有の文化が栄えた擦文(さつもん)時代など、各時代の遺構や遺物が発見されている。
近くの青苗砂丘遺跡では、オホーツク文化の特徴をもつ土器や北方民族由来の装身具をまとった人骨、独特の住居跡などが見つかり、島がオホーツク文化の最南端拠点であったと推測されている。
一方、本州の文化を色濃く受けた遺物も多く発見されており、奥尻町教育委員会の稲垣森太学芸員は、「奥尻島は南北の交易地や交流地として多様な文化が混ざってきた。後のアイヌ文化の成立にも影響を与えているだろう」と語る。
昭和51年に青苗遺跡で発掘された丁字頭(ちょうじがしら)勾玉は、島を代表する古代ロマンの象徴である。新潟県糸魚川(いといがわ)産の翡翠が使われた長さ5センチ、幅2センチの大きな丁字頭勾玉は、古墳時代に近畿地方で使用された遺物で、時を経て奥尻島へもたらされた可能性が高いようだ。
島の長い歴史を語る上で、現代の悲しい出来事も忘れてはならない。平成5年7月12日、奥尻島沖でマグニチュード7・8を観測した北海道南西沖地震が発生。直後に巨大な津波が島を襲い、奥尻町だけで死者と行方不明者計198人の甚大な被害をもたらした。
地元の建設会社は震災後、復興のために始めたブドウ栽培をきっかけに平成20年、「奥尻ワイナリー」の製造工場会社を設立した。島を襲う台風や塩害に苦心しながら、日本の離島で初めてワイナリーをつくった。
同社の菅川仁さんは「ブドウ栽培からワイン製造、販売まで全てを島でやることに価値がある」とし、ミネラル感のある〝海を感じるワイン〟を目指して試行錯誤を続けている。
古代から絶えず人の生きた足跡が残る島で、幾千の物語が島に眠っていることだろう。過去に思いをはせながら、新たな物語が紡がれている今の島をゆっくりと巡りたい。

アクセス 北海道江差町の江差港からフェリーで2時間10~20分。函館空港からの空路もある。

プロフィル 小林希 こばやし・のぞみ 昭和57年生まれ、東京都出身。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。帰国後に『恋する旅女、世界をゆく―29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマにしている。これまで世界60カ国、日本の離島は100島を巡った。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/e5-b3-b6-e3-82-92-e6-ad-a9-e3-81-8f-e6-97-a5-e6-9c-ac-e3-82-92-e8-a6-8b-e3-82-8b-e5-8f-a4-e4-bb-a3-e3-83-ad-e3-83-9e-e3-83-b3-e3-81-a8-e8-a2-ab-e7-81-bd-e3-81-ae-e9-99-b0-e3-81-a7-e5-a5-a5-e5-b0-bb-e5-b3-b6-ef-bc-88-e5-8c-97-e6-b5-b7-e9-81-93-e5-a5-a5-e5-b/ar-AAOKSrq?ocid=BingNewsSearch

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アマゾン先住民族の「ありのまま」の姿を映し出す。映画『カナルタ』監督インタビュー

2021-09-25 | 先住民族関連
ideasforgood 9月 24, 2021

近年、森林破壊をはじめとしたさまざまな環境問題が私たちの身の回りで起きている。中でも森林火災などで大規模な損失が報道されている熱帯雨林。ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、2020年7月までの1年間でアマゾンの熱帯雨林の森林消失面積が前年の同じ時期より9.5%多い11,088平方キロメートルに広がったという。前年の数値を上回るのは3年連続であり、消失面積は3年前から約6割増えた。温暖化による乾燥で森林火災が発生しやすくなったことや、違法伐採が相次いだことが要因だとの見方もある(※1)。
そうした問題がある中で、あらためて人間と自然環境の関係性を捉え直す議論が世界各地で展開されている。そして、そのような議論に大きな示唆を与えてくれるのが自然環境と密接に触れ合いながら生活を営む先住民族の姿だ。
失われていく自然環境の中で、先住民族の人々はどのような営みを続けているのだろうか。今回、人類学者として1年間アマゾンに入り込み現地の先住民族の暮らしに密着したドキュメンタリー映画『カナルタ 螺旋状の夢』を制作した太田光海さんに取材した。
話者プロフィール:太田光海さん(おおた・あきみ)
太田さん1989年東京都生まれ。神戸大学国際文化学部、フランス・パリ社会科学高等研究院(EHESS)人類学修士課程を経て、英国・マンチェスター大学グラナダ映像人類学センターにて博士号を取得した。パリ時代はモロッコやパリ郊外で人類学的調査を行いながら、共同通信パリ支局でカメラマン兼記者として活動した。この時期、映画の聖地シネマテーク・フランセーズに通いつめ、シャワーのように映像を浴びる。マンチェスター大学では文化人類学とドキュメンタリー映画を掛け合わせた先端手法を学び、アマゾン熱帯雨林での1年間の調査と滞在撮影を経て、初の監督作品となる『カナルタ 螺旋状の夢』(2020年)を発表した。本作は2021年10月2日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で劇場公開される。
Instagram: https://www.instagram.com/akimiota/
Twitter: https://twitter.com/akimiota
Note: https://note.com/akimiota
フランスで異文化を見つめた学生時代
日本の大学を卒業後、フランスに渡り人類学を本格的に学び始めた太田さん。太田さん自身の人類学への関心は、日本社会への違和感にまでさかのぼる。
太田さん:日本という社会の中でずっと小さい頃から生きづらさを感じていました。学校でも、自由がないと感じたり、人間関係もみんなが監視しあっている雰囲気を感じたり。そうした生きづらさがありながらも、世界全体で考えたらいろんな生き方があるんだよなと思い、「異文化」というものに惹きつけられていきました。
そこで、太田さんは異文化について体系的に学べる人類学を専攻し、修士課程に進むタイミングで、人類学の伝統が長く、アートを取り巻く環境が魅力的なフランスへ渡った。進学先のパリ社会科学高等研究院(EHESS)では社会科学系の授業を中心に、セミナーだけでなく国際移民学やドキュメンタリー映像論など領域横断系の授業を履修したそうだ。
そして、修士課程入学前にもパリに1年間の交換留学生として滞在していた際に、太田さんのその後の活動に大きな影響を与えた出来事があった。それが2011年に起きた東日本大震災だったという。徐々に、太田さんは自身の関心の変化を無視できなくなっていった。
太田さん:福島の原発事故もあり、強い衝撃を受けました。この先自分が何をやっていけば良いのか、ゼロから考えざるを得なくなって。その時に、「人間が自然と、どうやって共生しているか」に関心を持つようになりました。
当時フランスで活躍していていた人類学者フィリップ・デスコラ氏のエクアドルのアチュアール族に関する研究にインスピレーションを受けた太田さんは、アマゾンの先住民の研究を通して自然と人間の関係を問い直していきたいと思ったそうだ。
映像を通して伝えるアマゾンの日常
太田さんは文化人類学を学ぶ中で、映像という手法を通してアマゾン先住民のありのままの姿を発信していきたい気持ちになったという。
太田さん:文化人類学にはフィールドワークが大切です。彼らの習慣や言語、考え方を参与観察していき、彼らと同じ気持ちに至るまでに自分自身をまわりの環境に適用し、そこから自分を客観視して、何かを論じる学問だと思っています。それってすごく貴重な体験だと思うのですが、そうした体験が世の中に伝わっていない感覚がありました。その体験を、ハードルを低くした上でより多くの人に届ける手段を考えた時に、「映像」が面白いと思ったんです。もともと私も写真が好きでカメラに親しみがあったので、そうした手法と融合させて何か伝えていきたいなと。その中で、「映像人類学」という分野に出会いました。
映像人類学は世界的にも珍しい学問であり、フランスに専門の学科がなかったため、太田さんはこの分野を牽引するイギリス・マンチェスター大学の博士課程に進んだ。そこで研究テーマの詳細を詰め、1年間アマゾンでフィールドワークをすることに。知人やエクアドル現地の人々との繋がりもあり、アマゾンに住むシュアール族の元へと訪問した。
実際に1年をかけてシュアール族の人々の生活に入り込む中で、太田さんは社会問題起点の発信や、撮影対象を美化するやり方ではない方法を意識しながら撮影したという。
太田さん:先住民族を扱う映像作品は、環境問題に警鐘を鳴らしたり環境保護を啓発したりと、「社会問題」を前面に出す傾向が強いと感じます。問題として伝える方法にも意義があると思いますし、自分もそうした作品を通して学んでいますが、それだけでは伝わりきらない側面があると思っていて。「問題」としてパッケージ化してナレーションを入れて伝えるより、視点をずらして「ありのまま」の彼らとの距離感や、自分がどう伝える立場にいるべきなのかを考えました。また、先住民族の生活を美化したものにもしたくなくて。映像での発信における第三の道を模索していきました。でも、つまらなかったら人は見てくれない。面白い映像にするけど、扇情的じゃないという加減が難しいと感じました。
実際に太田さんの作品『カナルタ』は、終始静かに淡々とシュアール族の日常生活が映し出され、場面が展開されていく。また、まるで現地にいるかのような臨場感のある音響は観る人をアマゾンの世界に没入させてくれる。ビジュアルや音響を誇張せずシンプルにありのままを映す太田さんの思想を感じさせる部分だ。
太田さん:エフェクトを入れたり奇をてらった細工をしたりしなくても、僕らのいる世界は音も景色も美しいと思います。僕自身にはミニマリズム的な感覚があって、楽しく生きるために必要なものは多くないと思っていて。これはアマゾンの世界にも通じます。森という自然の中で日々様々な発見をしながらクリエイティブに生きている。この作品でエフェクトを多く使っていないのは、彼らのシンプルな生き方が十分面白いと思っているからです。
すべてがつながり合う、円環の思想
1年間のアマゾンでのフィールドワークと撮影を通して太田さんが一番心に響いたのは、自身を取り巻く物事や世界に対するシュアール族の思想だという。
太田さん:シュアール族にとって、物質や自身を取り巻く全てのものが地続きです。例えば、一般的に私が持っているコップはただの「コップ」としか認識できないですが、シュアール族は「これは土からできている」というレベルから向き合っています。プラスチックや木のケースであっても、どう切り出されて加工されたか、何でできていてどこから来ているのか、どう作れるのかを常に考えている。「自然は綺麗なもの」に留めず、「この土を使ったら土器が作れる」、「この草を組み合わせたら健康になれる」など、あらゆるものがプロセスとして繋がっている世界観があるのだと感じました。
作品の中で印象的なシーンの一つに、幻覚作用を持つ植物・アヤワスカを使用し未来のビジョンを見ようとするシュアール族の場面がある。植物を媒介に自身を覚醒させ、時に内省する姿は、まさに自然と自分自身を地続きに考えているように見え、心に残るものがあった。
太田さん:彼らは、アヤワスカも地球上に存在している「普通のもの」と認識しています。彼らには様々な薬草に対する知識がある中で、他の薬草には他の役割があるように、幻覚作用のあるアヤワスカを特別視せず「そういう作用のある薬草なんだ」という認識を持っています。文献を読むだけではこうした彼らの感覚はわかりません。そうした感覚は、研究者として現地へ行って感じたことや考えを突き詰めた上でわかったことですね。
夢を通して世界を理解するシュアール族のまなざし
この『カナルタ〜螺旋状の夢〜』というタイトルには、シュアール族が大切にする言葉が込められているという。
太田さん:「カナルタ」という言葉には、「おやすみなさい」、「良い夢を」、「ビジョンを見なさい」という3つの意味があります。シュアール族の彼らは、寝る前やアヤワスカを使用して覚醒するときにこの言葉を使います。つまり、彼らにとって自分自身のビジョンを見ることと眠ることはイコールで、地続きの感覚です。彼らが夢を通していろんなものを理解していくプロセスを、「カナルタ」という言葉は象徴しているように感じました。
実際に、作品の中では「夢」をきっかけに部族初の女性リーダーになった女性や、先に述べたアヤワスカを用いて自身のビジョンを見ようとする男性の姿が映し出されている。
太田さん:もともとこの作品は、「Kanarta: Alive in Dreams」という英語のタイトルを先に考えていました。彼らの世界観の特徴として、何かが膨張していき自分が世界を支配している感覚よりも、同じ状態がずっと続く円環的な感覚が強いと思っていて。一方で、円環だからと言って同じものの繰り返しではなく、回っているけどどこか別の場所にも向かっている状態のような。これが、「螺旋状の夢」というタイトルに繋がっていきました。
太田さんは、タイトルだけでなく編集の仕方にも工夫を凝らしている。様々なシーンがループしているかのように、場面のサイクルを2、3周させてデジャブ感を起こすような編集にし、螺旋的な動きとして表現に落とし込んでいったそうだ。
太田さんは東日本大震災をきっかけに、これまでの消費主義的な生き方から抜け出すためのオルタナティブな可能性を求めて研究や制作を行なってきた。その中で、大切なのは私たち自身がよりしなやかに生きていくことだと話す。
太田さん:土台にある考え方は変わっていませんが、仰々しくその可能性をまわりの人たちに提案しても、人間誰しも急激には変われないと思います。たしかに変化する希望もあるけど、それ以上に伝えたいのはもっと自由にしなやかに生きていいのではないかということです。彼らの生活を想像するときには、いつも水のメタファーが思い浮かびます。水は、形はないけど必要なものです。水のようにあらゆるものに溶け込みながらこの世界を生き抜く感覚は、よりオルタナティブな可能性を切り開くことの必要性を思い出させてくれます。今後も、この世界の中でのよりしなやかな生き方、考え方を、撮ったり書いたりしていきたいです。
編集後記
今回の取材で印象的だったのは、シュアール族の人々の暮らしや価値観に対する、人類学者としての太田さんの視点だった。「先住民族」は、「古くからの伝統を守る人々」というように、ある意味で美化された対象として切り取られることが多いと感じる。一方で、太田さんは先住民族の生活や価値観に対して1年もの間、現地に密着し彼らの様子を映像に収めた。だからこそ、シュアール族の日常生活という「外面」だけでなく、彼らの心の奥にある「内面」に至るまでが映像に込められているように感じた。そして、視聴者である筆者自身もその世界に入り込む感覚になった。
また、「映像を見れば世界を分かった気になってしまう」というドキュメンタリーの持つカタルシスの作用に対しての太田さんの考えに、筆者自身もはっとさせられた。昨今様々な社会問題に関するドキュメンタリー映像を観る機会が増える中で、問題の現状を知ることができるのはメリットであるのと同時に、映像の中で語られていることが全てだと思わせる作用がある。太田さんの作品はミニマリズム的な感覚でアマゾンの世界の「ありのまま」の姿を映し出そうとされており、映像の中で完結した世界を知って満足するのではなく、映像を通してもっとこの世界を探求してみたいという気持ちにさせてくれる。まさに、今まで知らなかったアマゾンという奥深い世界の入り口が開かれた感覚があった。
人間と自然との関係を捉え直し、新たな視点を得たい方にぜひこの作品を視聴いただきたい。
上映スケジュール
10月2日(土)〜 シアター・イメージフォーラム(東京)
10月29日(金)〜 伏見ミリオン座(愛知)
11月6日(土)〜 横浜シネマリン(神奈川)
11月19日(金)〜 出町座(京都)
11月20日(土)〜 シネ・ヌーヴォ(大阪)、元町映画館(兵庫)
その他の上映スケジュールはこちらを参照
※1 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66837710R01C20A2EAF000/)
【参照サイト】akimi ota
https://ideasforgood.jp/2021/09/24/kanarta/

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