北海道新聞 09/02 05:00
日本テレビは情報番組「スッキリ」でアイヌ民族への差別表現があった問題について、検証結果を番組内で放送した。
差別表現の原因を制作者にアイヌ民族の歴史や差別に関する知識が乏しかったからだと説明した。再発防止策として研修実施や番組のチェック体制構築を挙げた。
アイヌ民族を長年傷つけてきた言葉が、何人もの目を素通りして放送された事実は深刻だ。
メディアには正しい情報を発信し、アイヌ民族への理解を深める役割がある。差別と偏見を助長することなどあってはならない。
日テレは再発防止の取り組みを継続していくことが重要だ。
明治以降の国の同化政策などがアイヌ民族に苦難と痛みを強いてきた。その歴史を国民が直視してこそ「民族共生」への一歩になる。改めて心に深く刻みたい。
問題の放送は今年3月、アイヌ民族を描いたドキュメンタリー作品を紹介する際、お笑い芸人が披露した謎かけの中でアイヌ民族を差別する言い回しがあった。
日テレは27年前には歌謡曲「イヨマンテの夜」に合わせて全身金粉姿の芸人が踊るシーンを放送した。アイヌ民族団体から神聖な儀式を歪曲(わいきょく)し、差別と偏見につながると抗議を受けた。
この時も先住民族への認識不足が原因だったとして社内研修を開くと回答した。教訓はなぜ生かされなかったかの検証も必要だ。
放送業界では差別を生む問題がたびたび起きている。
2011年、東海テレビ放送は東北産米のプレゼント当選者を「セシウムさん」などと表示して番組が打ち切りになった。同社の検証委はスタッフ不足などで点検が不十分だったと指摘した。
今回の日テレについても、放送倫理・番組向上機構(BPO)は労力削減で収録動画の最終確認が極めて甘かったと結論付けた。
テレビ業界では番組の外注化が進む。こうした構造にまで踏み込み、いかに実効性のある研修や複層的なチェック体制が確立できるかが再発防止への鍵となろう。
アイヌ民族の歴史と文化への理解を広げるには、昨年7月に胆振管内白老町に開業したアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の役割は大きい。
そのためにもアイヌ文化を学ぶ拠点として一層充実させ、発信力を高めなければならない。
国や自治体は差別を許さない強い姿勢を取り、偏見を解消する対策を積極的に講じるべきだ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/584746
日本テレビは情報番組「スッキリ」でアイヌ民族への差別表現があった問題について、検証結果を番組内で放送した。
差別表現の原因を制作者にアイヌ民族の歴史や差別に関する知識が乏しかったからだと説明した。再発防止策として研修実施や番組のチェック体制構築を挙げた。
アイヌ民族を長年傷つけてきた言葉が、何人もの目を素通りして放送された事実は深刻だ。
メディアには正しい情報を発信し、アイヌ民族への理解を深める役割がある。差別と偏見を助長することなどあってはならない。
日テレは再発防止の取り組みを継続していくことが重要だ。
明治以降の国の同化政策などがアイヌ民族に苦難と痛みを強いてきた。その歴史を国民が直視してこそ「民族共生」への一歩になる。改めて心に深く刻みたい。
問題の放送は今年3月、アイヌ民族を描いたドキュメンタリー作品を紹介する際、お笑い芸人が披露した謎かけの中でアイヌ民族を差別する言い回しがあった。
日テレは27年前には歌謡曲「イヨマンテの夜」に合わせて全身金粉姿の芸人が踊るシーンを放送した。アイヌ民族団体から神聖な儀式を歪曲(わいきょく)し、差別と偏見につながると抗議を受けた。
この時も先住民族への認識不足が原因だったとして社内研修を開くと回答した。教訓はなぜ生かされなかったかの検証も必要だ。
放送業界では差別を生む問題がたびたび起きている。
2011年、東海テレビ放送は東北産米のプレゼント当選者を「セシウムさん」などと表示して番組が打ち切りになった。同社の検証委はスタッフ不足などで点検が不十分だったと指摘した。
今回の日テレについても、放送倫理・番組向上機構(BPO)は労力削減で収録動画の最終確認が極めて甘かったと結論付けた。
テレビ業界では番組の外注化が進む。こうした構造にまで踏み込み、いかに実効性のある研修や複層的なチェック体制が確立できるかが再発防止への鍵となろう。
アイヌ民族の歴史と文化への理解を広げるには、昨年7月に胆振管内白老町に開業したアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の役割は大きい。
そのためにもアイヌ文化を学ぶ拠点として一層充実させ、発信力を高めなければならない。
国や自治体は差別を許さない強い姿勢を取り、偏見を解消する対策を積極的に講じるべきだ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/584746