ウォーカープラス 2/13(木) 14:00
北海道の白老町にあるウポポイ(民族共生象徴空間)。「ウポポイ」とはアイヌ語で「(大勢で)歌うこと」を意味している。ウポポイは、北海道の豊かな自然に囲まれた場所に位置しており、その環境そのものがアイヌ文化を感じさせてくれる場所。アイヌ民族の文化は自然との深いつながりを大切にしており、ウポポイに足を踏み入れると、その精神を感じることができる。
広大な敷地内には、アイヌ民族の家屋「チセ」の復元をはじめ、生活を再現した展示や、アイヌ文化を実際に体験できるコンテンツが盛りだくさん。今回は、ウポポイで体験できる4つのプログラムを紹介する。
■迫力満点!伝統芸能上演「イメル」
ウポポイでは、アイヌ文化の魅力をより深く知ってもらうため、歌や踊り、口承文芸、楽器の演奏などの舞台を公開している。
古くからアイヌ民族の祭りや儀式で歌われ、踊られてきたものを、間近で見られる機会はなかなかないもの。歌や踊りに込められた意味や歴史についての解説があり、アイヌ民族の生活と自然への深い敬意が表現されている。
実際に観劇してみると、歌のメロディーには自然の音や動物たちの声が加えられ、その響きは非常に力強く、同時に独特な響きで、人の声ながら聞いていて不思議な感覚に陥った。刀を使った舞踊も披露され、動物や自然の精霊に対しての祈りや、生活の中で大切にしてきた価値観が感じられた。
■自然の恵みを感じる伝統料理「オハウ」
アイヌ民族の食文化は、その土地で採れる自然の恵みを最大限に活かしているのが特徴。狩猟、漁労、採集を通じて、豊かな自然環境と密接に関わりながら生きてきたため、食事は自然への感謝の気持ちが込められた大切な行為だ。
ウポポイでは、この伝統的な食文化を体験できるプログラムも提供されている。「オハウ」は、伝統的な汁物で、その地域で採れる食材を煮込んだ料理。主に魚や野菜を使ったオハウが一般的で、鮭、ジャガイモ、ニンジン、ダイコンなどが入っていて、味付けは塩と油のみだが、素材そのものの深い味わいが楽しめる。
■不思議な音色の楽器「ムックリ」に挑戦!
「ムックリ」(口琴)は、竹などで作られた小さな道具を口に当て、手で紐を引き振動した弁の音を口の中で反響させて音を鳴らすアイヌ民族の伝統的な楽器。ウポポイでは、ムックリの基本的な演奏方法を学びながら、実際に演奏体験ができる。
ムックリは、見た目や作りはシンプルだが、その演奏には技術が必要だ。伝統芸能上演「イメル」でもムックリの演奏があり、そのときは簡単に演奏しているように見えたのだが、実際にやってみるとそうはいかない。音を鳴らすためには、口の中での響きや息の使い方、手首のスナップを使った微妙な調整が大切になってくる。
■集中力と楽しさが融合する弓矢体験
弓矢体験「アㇰシノッ」は、アイヌ民族に伝わる子ども用の弓矢を使った遊び。アイヌの人々にとって、弓矢は狩猟や儀式で使用する重要な道具である。子どもたちは遊びの中で弓矢に親しみながら、その使い方を習熟していったのだそう。
このプログラムでは、先端が尖っていない矢を使用するため、誰でも安全に楽しめるよう工夫されており、弓矢に触れ、その使い方を学びながら、遊び感覚で狩猟文化を感じることができる。実際に体験してみたが、まずは弓をしっかりと構える方法、矢を放つ動作を教えてもらった。弓を引くのに結構な力を込めなければならず、子ども用の弓とは思えないほど。それに加えて、的へ当てるのもコントロールが必要で、どちらにも集中しなければならない。当たった瞬間の楽しさはこの体験でしか得られないものだ。
日常ではなかなかない体験ができるウポポイ。今回紹介した4つの体験以外にもさまざまなプログラムが用意されており、アイヌ文化に興味がある人はもちろん、北海道旅行を計画している人にもおすすめのスポットだ。自然豊かな土地で日常を忘れ、アイヌ文化に触れてみては。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c286c5428237df316fff66a28213d75663f0eed8