20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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新刊2冊、ご紹介

2010年08月11日 | Weblog
 一冊目は、季節風同人、イノウエミホコさんの二冊目の新刊です。
 イノウエミホコさんらしい、とびきり元気のいいご本です。

『男子☆弁当部』(イノウエミホコ・ポプラ社)
 副題として(オレらの友情てんこもり弁当)と記されているように、クラスの仲よし3人の友情を通して、お弁当作りをしていくお話です。
 主人公の「ソラ」の家は、お父さんは遺跡の調査のため山形に、日本のいろんな土地で暮らしてみたいと放浪の旅に出ている兄の「ミライ」は愛知県にと、家に住んでいるのは大学の先生をしているお母さんと「ソラ」のふたりです。
 ものごころついたときから、ソラは「自分のことは自分でやる、だれの助けもいらない」が信条の男の子でした。
 ところが学校で週に一度、お弁当の日ができ、仲よしのソラとタケルとユウタは「弁当部」を作って、3人でお弁当作りをすることになります。
 そのプロセスで生まれるそれぞれの家庭の事情。そしてそれらを乗りこえながら、3人はお弁当作りをはじめます。ソラの胸に少しずつ「チーム」の想いが生まれてきます。
 巻末には、男の子でも出来そうな、おいしそうなお弁当の作り方も書いてあります。
 とにかく元気なご本です。言葉がぴちぴちと躍っています。
 皆さまどうぞお読みになってください。


 
 二冊目は、古田足日さんの新刊。
 過去に出版されたものを一冊にまとめ、リニューアルされた短編集です。
『月の上のガラスの町』(古田足日・日本標準)
 いまから何百年かのちのこと、月の上にガラスの町が出来ました。すきとおる巨大なドームにおおわれた町では、草も花も地球のものの何倍もの大きさになったのです。月は地球より引力が小さいからだそうです。
 そういった「はじめに」からスタートするこの短編集は、どれもその発想の豊かさに驚かされます。
 SFではありますが、作品の根底には古田足日のロマンティシズムが流れています。
 SF小説を読み慣れない人でも、すっと胸に入ってきます。
 御年82歳の古田足日さんのしばらく前の作品とはいえ、そのフレキシブルな発想と瑞々しい感性に驚かされます。
 ぜひお読みになってください。
コメント (2)
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