20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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作品のタイトル

2010年08月26日 | Weblog
 夜、本を読みながらラジオを聞いていたら、ポール・ゴーギャンの話をしていました。
 夜のラジオから語りかけてくるやわらかな声は、なんとも心地よく、そこにひとしずくのエッセンスが加わると、さらに心地よさは増します。

 ポール・ゴーギャンといって有名なのは、
《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》というタイトルの絵です。
 なんとも哲学的・思索的なタイトルですが、絵についたキャプションを読むのが好きな私は、タイトルにもとても興味を惹かれます。

 本のタイトルにしても、しかりです。
 例えば、新人作家の書いた『桐島、部活やめたってよ』(朝井リョウ・集英社)なんて言うのも衝撃的なタイトルです。
 タイトルに引きずられて読みたくなります。

 9月の研究会のテキストは『おれのおばさん』(佐川光晴・集英社)です。
 先日、朝日新聞の日曜日のインタビューで「タイトルがいい」と褒められていました。
「おじさん」と比べ「おばさん」はぐっと生活感が出る、と。

 作品を書くとき悩むのも、このタイトルです。
 私は比較的長いタイトルをつけることが多いので、「著者紹介」のときなどに、「字数的に、どれかをカットさせてください」と編集者に言われるくらいです。
 でも、タイトルをつける瞬間というのは、いつも胸がどきどきします。

 それにしても、ポール・ゴーギャンのタイトルを見ると、それはそのまま彼のアイデンティティへの問いかけで、こうした迷いをそのままタイトルにつけてしまう手もあったのだと思い知らされます。
 
 秋の夜長にはまだ早い季節ですが、エアコンをつけて、たまにはラジオを聞きながら読書でも、とオススメしたくなる8月の終わりです。
コメント
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