親しい作家、濱野京子さんの新刊です。
お仕事をしながらなのに、彼女はもう驚異としかいいようがないくらい、次々と新刊を発表し続けています。
ほんとうにすごいです!
さて、この『竜の木の約束』、これまた濱野さんらしい問題意識からのテーマ設定です。
最初、読み始めたときは、性同一性障害がテーマかなと思いましたが、そこはやはり濱野さん。
そうはストーリーが展開しませんでした。
女性の生き方の問題が横糸にあり、縦糸は「友だちなんていらない」と思っていた少女がその友だちに翻弄されながらも、きちんとした関係を結んでいく物語になっています。
家族の問題も出て来ます。
それらを、濱野京子の確かな筆力で、きちんと描ききっていて、読ませます。
町を丁寧に描く、という手法もまた、濱野京子さんの特徴かもしれません。
皆さま、どうぞお読みになってください。