
秋の日が暮れていきます。
真夏の日暮れでも、春の日暮れでもない、どことなく愁いのある日暮れです。
この季節になると思い出す絵本があります。
『まがればまよいみち』(井上洋介・福音館書店)です。
日暮れには、夜の闇が少しずつ忍びこんできます。
友だちもひとりふたりと、気がついたら消えています。どこからか夕餉の支度の匂いも・・・。
そんな心細さが押しよせてくる時間、買い物をたのまれ外に飛び出します。
夜の闇が、どこかの物陰や、道のはずれに、息をひそめるようにひろがりはじめています。
街角に立つと、ひとりぼっちのかなしさ、不安、恐怖が一気に押しよせてきます。
あの角をまがったら、そこには何が・・・。
井上洋介さんの絵本に刺激され、まったく違う表象の本ですが「夕暮れの占い師」という作品を書いたことがあります。
『10分で読めるお話 六年生』(学研)に収録されています。