公園にザクロの花が咲いています。
この花が、秋には実になります。
ザクロといえば、子どもの頃は酸っぱくて、食べるところのあまりない果実だと思っていました。
ところが大人になるに従い、いろいろな知識が耳や目から入ってきます。
ザクロにはエストロゲンがたくさん入っていて、女性には強い味方の果実だということなど・・・。
それ以来、お店にザクロのジュースがあったりすると、必ず飲んだりしています。
いつだったか、神楽坂の「田原屋」という有名なフルーツ屋さんで(いまはもう、ありません。鮒忠の隣あたりです。)ザクロを売っていました。
夏目漱石、菊池寛、佐藤春夫、永井荷風などが通っていたという二階が洋食屋さんで、一階がフルーツ屋さんのお店です。
その店先に、子どもの頃はまったく感心のなかったザクロが、まるで赤い宝石のように皮から溢れ出していて、あまりにもきれいだったので、おもわず買ってしまいました。
けれど、ザクロは相変わらず、食べるところなどほとんどなく、酸っぱい果実でした。
ザクロというと、あの田原屋の店先を思い出します。
神楽坂も、30年前のあの頃と比べると、文人たちの愛したお店がどんどんなくなっていきます。
ちなみに、田原屋のはす向かい(鮒忠の前)の、森鴎外が戸山にある東京陸軍病院(いまの国立医療センター)の医師だったころ、よく通って原稿用紙を買っていたと言われている、文房具屋の「相馬屋」は、いまもあります。