今夜は、隔月に行っている、仲間内の読書会です。
テキストは「やさしい猫」(中島京子・中央公論新社)。
やっぱり中島さん、ほんとにすごい!
徹底した取材と、この本の厚さだからできる、緻密さ。
「神は細部に宿る」という言葉がありますが、私は日頃、
「リアリティは細部に宿る」と思っています。
「入管法」など、日本に働きに来た、外国人のビザの問題。就労の問題。知らなかったことを、どんな小さなことでも読者と共有できるように、緻密に描いています。
それと、出てくる人間たちの描写の見事なこと。
ポイントポイントに置かれた、人間の描写の確かさ。
主人公の視点の面白さ。
それが最後のオチの感動につながります。
読みながら、日本って国は、本当に移民など受け入れられない、今でも鎖国のような国なんだなと思いました。
そして、特に貧しい国からやってくる人々が、どれだけ日本での差別と、人権すら認められない迫害の中にいるのか・・・。
この本は、吉川英治文學賞、貧困ジャーナリズム特別賞、芸術選奨文部科学大臣賞など、いろいろな賞を受賞しています。
そのテーマが、まさに今、スリランカの女性が、入管施設で収容中に体調不良を訴えて亡くなった事件。それらと重ねて読んでいくと、あのスリランカの女性がなぜ亡くなったのかということも、しっかりと理解させてくれます。
そうでなくても、今、世界は様々な矛盾や大きな問題などと向き合っています。
先日のアメリカの中間選挙でも、トランプが大勝利になるとメディアなどに言われていたのに、トランプが支持していた州知事候補が落選したり・・・。上院は民主党が勝利したり・・・。
アメリカでは、今、ポピュリズムと民主主義の、ものすごい分断が起きているそうです。
ポピュリズムの、トランプ派は、中絶反対、銃規制反対、同性婚反対。
とにかく、トランプは、前回の自らの選挙の時も、「不正選挙」と言って、いまだ認めていずに、支持層は白人でもアメリカの底辺を生きている人が多いようです。
今回の結果へ至った共和党支持の、アメリカ人の気持ちは、本当に「トランプを支持していて大丈夫なんだろうか」という湧き出た疑問。
その時、プロパガンダにも、陰謀論にも負けず、共和党支持者や、女性たちは、踏ん張って、ちゃんと現実のトランプの主張について、自分の身に寄せて考えました。
そして「トランプNO」と言えた。
それこそまさに「アメリカ人としての人間の権利や、暮らしを守ろうとする、真っ当な視点」でした。
だからと言って、諸手を挙げて民主党を支持しているわけではありません。
バイデンもバイデンですから 。息子のハンター・バイデン のウクライナや中国での不正行為に、息子自身が「反省している」というだけで、つまびらかになっていないのですから。
そのトランプの、うしろでは、統一教会のアメリカの信者たちも、応援しているそうです。日本人のトランプ、プーチン応援者は幸福の科学などの信者たちや、陰謀論の人たちです。その人たちの発言をネットなどで読むと、トランプ、プーチンこそ、世界を守る英雄と称されています。
その人たちは、自分で捻った陰謀論を作り上げ、「お前ら、知らないだろう。自分だけが知っているんだから」と、傲岸に相手を見下すことで、ちっぽけな自分を保持する快感。そして自己肯定感を得ること。
それで、幸せなのでしょうか?
彼が掲げた政策を見ても、トランプの主張は、安倍や、山谷えり子など、日本会議や、統一教会と、共通点があります。
ジェンダーの問題も、人間らしい権利の問題も、全て規制されています。
旧統一教会関係者がしばしば政治性の強い、生々しい内容を、宗教的メタファーとして語ることが多いのは、政治的表現を使うことのリスクを教祖自身が把握していたかららしいです。
トランプはその、統一教会の集会へも、安倍と同じく、お祝いメッセージを送ったりしています。
日本の入管なども、ある意味、外人(主に肌の色の問題)には、上から目線。
そして善意ある弁護士に叩かれると、相手を恨む。
この小説の中の、訴務検事の傲慢さにも、人としての、欠陥を感じます。
他者を尊重するということが、この人たちの人生には、きっとなかったのだろうなと。
うまくいかない人生を、他者のせいにして攻撃し、他者の責任にすり替えることで、上から目線で人を見下ろす。
近頃、痩せてきて、真っ赤な顔のボスザルのような形相にどんどんなっていく誰かさん。あるいは、ムーンフェイクの顔で、恐ろしい目つきで睨み付ける、誰かさんみたいです。
ボスザルも、ムーンフェイスも。そして近頃出てきた、マスクだかマイクだか知りませんが、経済の世界を牛耳りたいと思っている誰かさんも。