その日、仕事を終えた平河町から東京メトロ赤坂見附駅へ向かう道すがらのこと。
何日も続いた暑さが少し和らいだとかで、夜ともなるとここちよい風も吹いていた。
帰り道を急ぐなら、最寄り駅は永田町だったが、
過ごしやすい夏の夜、せっかくだから、少しそぞろ歩いてみようかという気になった。
出張時はいつも、コンデジの愛機GRをカバンの中に忍ばせていて
目を惹いた風景などあちこちで撮っているのだが、思えばそれも日中がほとんどのこと。
それだったら、東京でしかお目にかかれない夜の街並みを撮るスポットがないものかと考えた挙句、
ふと思いついたのが赤坂見附交差点にかかる歩道橋からの夜景だった。
RICOH GR DIGITAL Ⅲ f/3.5,1/2sec,ISO-100
外堀通りがゆるやかなカーブを繰り返しながら、溜池、そして虎ノ門へと向かう。
車の白いヘッドライトと赤いテールランプが対照的に流れる通り。
さらには、その両サイドを挟み込むように、様々な灯りが彩る中層、高層のビル群。
これこそが都会の風景!
多少の酔いも手伝ってか、妙に感傷的な気分で眺めた夜の赤坂だった。
この光景を眺めながら浮かんだ曲が In a Sentimental Mood
ジャズのスタンダードとして知られ、
オリジナルのデユーク・エリントン始め、数々の競作があって 、
どれも都会的なセンスにあふれるものだが、
中でも、軽やかなピアノが印象的なこのバージョンを選んでみた。
スタイリッシュな夜の都会を想像していただけたなら幸いだ。
In A Sentimental Mood Dr John
このドクター・ジョン、アメリカ南部の土臭さを感じる人だが、
一方で、ブルースやジャジーな楽曲も巧みにこなす。
なんとなく怪しい身なりだが、
「人は見かけによらぬもの」・・・自分にとっては魅力的なミュージシャンのひとりである。