「9」のつく日は空倶楽部の日。
その日、所用があって、夕方からひがしの茶屋街へ出かけることにしていた。
朝から蒸せかえるような暑さ、さらには発達した積乱雲が天頂にまで届く勢い。
「ひと雨来るぞ」という予感が出かける頃になって的中。
月並みな表現ながらバケツをひっくり返したような激しい雨が降りだした。
しかし、所詮は通り雨。
最寄りのバス停から歩いて20分程度、多少濡れはしたが、
茶屋街へたどりついた頃には、すっかり上がり、晴れわたった夕空が広がっていた。
Sony α99 Planar 50㎜ (f/2 , 1/80sec , ISO100)
♪ 夕空晴れて 秋風吹き...
思わず、唱歌「故郷の空」の一節を思い浮かべたのだが。
確かに、夕空は晴れていたが、「秋風」のほうはどうだったか?!
残念ながら、激しかった雨にもかかわらず、暑さが和らぐことなく、
「秋風情緒」を味わうことはできなかった。
それでも...。
明かりが灯りはじめた通りを眺めてみると
石畳に所どころ残った雨あとが夕空を映していたり
薄明かりに照らされた人影など、
よりしっとりとした風情を味わうことができたのは幸運だったと思う。
余談として、「故郷の空」のこと。
元々はスコットランド民謡に、遠い故郷を思う日本語の歌詞がつけられたものだが、
その美しい歌詞、実は原曲のものとはかなりかけ離れているらしい。
むしろ...。
「誰かさんと誰かさんが麦畑...」
そう。ドリフターズによるあのコミカルで庶民的(?)な歌詞(なかにし礼 作詞)こそ、元々のスコットランド民謡に近いものだそうだ。
さらにこの民謡が、サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」のモチーフにもなっているというから興味深い。
さて、長々と書いた後でふと思ったことだが。
若い方の多くは、唱歌「故郷の空」をすでに知らないと思う。
いや、それどころか。
「麦畑」も、そして、ひょっとしたら「ドリフターズ」ですら、知らない世代が増えているのかもしれない。
平成最後の夏、さらに遠くなる昭和の、たわいもない話として聞き流していただきたい。
なんとなくの選曲はイーグルス最後のアルバム「エデンへの道、遥か」から、邦題「夏の約束」
The Eagles - Waiting In The Weeds
このアルバムがリリースされたのが2007年。
当時、秋風が吹くころに何度も聴いていた記憶がある。