折にふれて

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カヴァティーナが流れている

2019-09-01 | 折にふれて

 

  Sony α7R3  FE2.8 16-35 GM (17㎜ ,f/5.6,1/800sec,ISO100) 

 

穏やかな気持ちで風景に向かうとき

必ずと言っていいほど頭の中でイメージする音楽がある。

スタンリー・マイヤーズ作曲による「カヴァティーナ」で

タイトルは「抒情的な旋律を表現の主体とする小品」を意味する音楽形式のことらしい。

じゅうぶんに納得のいくところである。

 

カヴァティーナを知ったのは40年以上も前のこと。

学生時代に都内の名画座で観た映画「ディア・ハンター」の主題曲としてだった。

ベトナム戦争に徴兵された若者たちを描く

ロバート・デ・ニーロ主演による映画だったが

その凄惨な内容とは対照的な美しい主題曲が長く心に残った。

 

もうずいぶんと前の話になるが

別のブログでディアハンターのことを書いたことがあって

その時、同年代のある女性がこんな感想を投稿してくださった。

ディアハンターを観終わった後、

感情のやり場がなくなって、

そのままトイレへ駈け込んで号泣したというのだ。

それ以上のことは書かれていなかったが

なんとなくその気持ちがわかるような気がした。

哀しかったわけではない。ましてや感激があったわけでもない。

はけ口のない激しいやるせなさが彼女の心を大きく動かしたと思ったからだ。

しかし同じやるせなさを感じながらも自分の心はそこまでは動かなかった。

いや、動こうとする瞬間に留まった。

やり場のない感情を唯一消化させてくれたのが

カヴァティーナの美しいメロディだったのだ。

そして、それ以来。

穏やかな気持ちでいたいと願うとき

さらにまた、美しい風景に出会ったとき

どこからかカヴァティーナのメロディが流れてくるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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