折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

湖北菅浦、光の春

2022-02-26 | 琵琶湖 余呉 湖国

この日、気温こそ真冬そのものだったが

久しぶりの日差しに誘われて湖北、菅浦へ。

毎年、この時期になると、「光の春」を探しに出かける。

撮影テーマのことを言っているのだが、

それはとりあえず置いて菅浦のこと。

 

 


                                                  Sony α7S2   F2.8G/70-200㎜

琵琶湖は、北に向かって狭まるにしたがって

いくつかの岬と入り江による複雑な地形を造り出す。

そのひとつ、葛籠尾岬(つづらおさき)の入り江に開けた集落が菅浦だ。

空気が澄んでいたせいか、対岸の比良山系が間近に迫る。

いつも思うのだが、このあたりの琵琶湖の水は

大津あたりに比べると群青ともいえるほど濃い。

その濃い水の色から立ち上がる雪の山肌が明るく青空に映えて

冬山とは言え春の様相を感じたのである。

 

 


                                                 Sony α7S2   F2.8G/70-200㎜

入江に沿って車一台がやっと通れるほどの

道の両脇に細長く民家が点在している。

その集落を包み込むように葛籠尾崎の林が迫る。

「隠れ里」とも呼ばれた菅浦独特の景観だ。

 

 


                                                  Sony α7S2   F2.8G/70-200㎜

湖岸にせり出す八重桜。

このあたり一帯は桜の名所でもあり

とくに4月の中頃からはこぼれるような八重桜が湖岸を彩る。

枝先が少し赤みがかって見えたりもしたが

蕾がすこし膨らみ始めていたのかもしれない。

 

 


                                                  Sony α7S2   F2.8G/70-200㎜

さて...。

あらためて、「光の春」のこと。

何年か前に、新聞のコラム欄で知ったのだが、

ロシアでは2月のことを「光の春」と呼ぶ。

彼の地に限らず、北国での2月はまだまだ真冬。

毎日のように雪は降るし、時にはたいへんな雪害をもたらすこともある。

だが、次第に陽が長くなって、明るさを取り戻していくことを

春への希望を込めて「光の春」と呼ぶのだそうだ。美しい言葉だと思う。

そして、この日の菅浦。

琵琶湖の水はまだ寒々と感じたし

残雪もかなりあった。

けれども、明るい日差しの中、

菅浦のそこかしこで「光の春」を感じたのである。

 


 
 ぼくたちの失敗/森田童子

学生時代をなつかしく思い出す春の歌だ。

けっして明るい歌詞ではないけれども

その内容とは裏腹に、春への希望を感じる曲である。

Comments (9)