眠りつけずに机に向かう。深夜の2時だ。若いころから早寝早起きだった。早起きと言ってもまあ5時か6時と言う話。ところが還暦を超えて、4時が常態となっあた。3時のこともある。
就寝するのは9時前後で、これは四半世紀変わらない。目覚めが早まった。つまりは睡眠する体力の息切れだろう。
午前0時過ぎにトイレに起きて、再び寝つけない。それでもベッドでもぞもぞして、いかばかりと時計を見る。まだ1時半。えいっままよ、と起き上がって階下の洗面所に下りる。顔を洗う。昼間は湯のような水道水がひんやりしている。
そうして机に向かっているのである。
パソコンを立ち上げ、ポケットラジオのスイッチをひねる。
窓を開け放つと、すだく虫の声。網戸が傷んでいるのか蛾が飛び込んでくる。
今年の「はがき随筆」のファイルを開く。末尾は16㌻を示す。投稿済あり、未投稿あり、没になったものも多い。
死屍累々か、とぶぜんとなる。サビシノ、ココロノ、シーボルト。深夜、老人の独り言。物狂おしいものだ。
ラジオからは、沖縄の島唄が響く。先夜は南沙織や天地真理の曲だった。
夜明け前の今この時、全国で幾万幾十万のリスナーが耳を傾けているのだろう。眠らない仲間たち……。
長崎県大村市 高塚鎮昭(61)毎日新聞鹿児島版
「男の気持ち」掲載
就寝するのは9時前後で、これは四半世紀変わらない。目覚めが早まった。つまりは睡眠する体力の息切れだろう。
午前0時過ぎにトイレに起きて、再び寝つけない。それでもベッドでもぞもぞして、いかばかりと時計を見る。まだ1時半。えいっままよ、と起き上がって階下の洗面所に下りる。顔を洗う。昼間は湯のような水道水がひんやりしている。
そうして机に向かっているのである。
パソコンを立ち上げ、ポケットラジオのスイッチをひねる。
窓を開け放つと、すだく虫の声。網戸が傷んでいるのか蛾が飛び込んでくる。
今年の「はがき随筆」のファイルを開く。末尾は16㌻を示す。投稿済あり、未投稿あり、没になったものも多い。
死屍累々か、とぶぜんとなる。サビシノ、ココロノ、シーボルト。深夜、老人の独り言。物狂おしいものだ。
ラジオからは、沖縄の島唄が響く。先夜は南沙織や天地真理の曲だった。
夜明け前の今この時、全国で幾万幾十万のリスナーが耳を傾けているのだろう。眠らない仲間たち……。
長崎県大村市 高塚鎮昭(61)毎日新聞鹿児島版
「男の気持ち」掲載