はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ラジオ深夜便

2007-09-10 13:03:50 | 女の気持ち/男の気持ち
 眠りつけずに机に向かう。深夜の2時だ。若いころから早寝早起きだった。早起きと言ってもまあ5時か6時と言う話。ところが還暦を超えて、4時が常態となっあた。3時のこともある。
 就寝するのは9時前後で、これは四半世紀変わらない。目覚めが早まった。つまりは睡眠する体力の息切れだろう。
 午前0時過ぎにトイレに起きて、再び寝つけない。それでもベッドでもぞもぞして、いかばかりと時計を見る。まだ1時半。えいっままよ、と起き上がって階下の洗面所に下りる。顔を洗う。昼間は湯のような水道水がひんやりしている。
そうして机に向かっているのである。
 パソコンを立ち上げ、ポケットラジオのスイッチをひねる。
 窓を開け放つと、すだく虫の声。網戸が傷んでいるのか蛾が飛び込んでくる。
 今年の「はがき随筆」のファイルを開く。末尾は16㌻を示す。投稿済あり、未投稿あり、没になったものも多い。
 死屍累々か、とぶぜんとなる。サビシノ、ココロノ、シーボルト。深夜、老人の独り言。物狂おしいものだ。
 ラジオからは、沖縄の島唄が響く。先夜は南沙織や天地真理の曲だった。
夜明け前の今この時、全国で幾万幾十万のリスナーが耳を傾けているのだろう。眠らない仲間たち……。
   長崎県大村市 高塚鎮昭(61)毎日新聞鹿児島版
   「男の気持ち」掲載

トマト

2007-09-10 12:33:22 | はがき随筆
 背丈より伸びたトマトのてっぺんに小さな実が赤く熟れている。夏野菜も終わりだ。
 今年は7本のトマト苗を品種を変えて植えた。成長期の葉は同じように見えたが、実がなり出すとそれぞれの特徴が見えた。とんがり柿のような実が充実したフルーツトマト、香り豊かで酸味とうま味のある桃太郎。早くから収穫できた瑞栄の実は大きく、サラダの器にして盛り、食卓を彩った。酸味と甘さを凝縮したミニトマトは本当においしかった。
 いろいろな品種を楽しめるのも家庭菜園のよいところ。
   出水市 年神貞子(71) 2007/9/9 毎日新聞鹿児島版掲載