はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆8月度入選

2007-09-25 10:39:07 | 受賞作品
はがき随筆8月度入選作品が決まりました。
△ 薩摩川内市高江町、上野昭子さん(78)の「悲しい記憶」(14日)
△ 出水市高尾野町唐笠木、岩田昭治さん(68)の「幸せな夏、夏」(30日)
△ 出水市緑町、道田道範さん(58)の「遠い夏の一ページ」(29)
の3点です。
 秋彼岸の9月です。8月度は62回目の終戦記念日を迎えました。この日の前後に思い出を持つ方からの文章が数点届きました。
 上野さんの 「悲しい記憶」は、美しい月夜に宿泊先で家族を語り合った艦の青年乗組員たち、停泊中の翌日に攻撃を受け赤く染まった海に帰らぬ人となった彼らを対照的に書き、きれいな文章にまとめました。最後の、瞳の中の月と赤い海との対比も良いですね。また、池田春美さんの 「忘れない日々」(10日)は、終戦5日前、空襲で生家が焼けすべてを失ったのですが、そのことを文の始めから体言止めで協調しました。失ってしまった14歳までの自分を知りたい、と末尾を歌で結びました。シャレてますね。
 さて、月末に夏休み特集が組まれました。どの作品もすぐれたものばかりでした。
 岩田山の「幸せな夏、夏」は、大学の通信教育のスクーリング受講体験記です。まず障害学び続ける姿勢に敬服しました。また、若者と交流する様子がよく書かれています。夏、夏と重ねた題目が、恵まれたホットな浪を感じさせますよね。
 道田さんは、高校生の夏休みに川漁師のお父さんのアユ漁の仕組みとアユの動きがよく書かれ、大量のアユの運搬には、スピードも感じられます。「遠い夏の一ページ」文字どおりセピア色の映像を見る思いです。お父さんの行動の描写には「落ち」があり面白いですね。一木法明さんの「夏の思い出」(31日)は、少年時代の夏休みの楽しみがうまく映像になりました。
 田中京子山の「夏の旅人」(28日)は、暑い夏は苦手と決めて行動しなかった自分に気づき、夏の旅人になってさわやかな夏を過ごした体験です。来年も挑戦しようと前向きの勢い、元気がでますね。
 皆さん良い夏でしたね。
 (日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
 
係から
入選作品のうち1編は29日午前8痔20分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」の「朝のとっておき」です。

メッセージ

2007-09-25 08:59:19 | はがき随筆
 娘たちの手料理が出来上がり、恒例の家族敬老会がありました。
 毎年楽しみにしているのが孫たちからの御祝いのメッセージ。最年少の保育園児の私の似顔絵に驚嘆し、奉仕肩たたき券つづりの入ったお手紙。夏休み中に果たせなかった焼き肉大会を改めて催促する食いしん坊の孫。紙面いっぱいに細長い大きな字で「150歳まで長生きしてください」と流し書きしている孫。じいちゃんばあちゃんの優しい笑顔がいつまでも見られますように、と一人姫孫の思いやり。
 毎年のメッセージに孫たちの成長を感じ、余生への元気を頂くのでした。
   鹿児島市 春田和美(72) 2007/9/25 毎日新聞鹿児島版掲載