祖母の遠忌で久しぶりに故郷を訪れた。何年ぶりだろう。すっかり変わり、驚くばかりだ。
小鳥を捕り山菜を摘んだ丘には住宅が侵入し、団地を形成している。川はコンクリートで固められ、ただの水路だ。ウナギやフナがすみつく豊かさやぬくもりがない。チャンバラをし十五夜の綱引きをした道路は、車が高速で走り抜け、横断するのもひと苦労だ。帰省を喜んでくれたのは2人のいとこだけだ。
桜が咲き満ちて入学を迎えてくれた母校は、跡形もなく消えて寂しい限りだ。昭和の尾灯とともに故郷もまた、春のかすみの中に消え去ってゆく。
鹿児島市 福元啓刀(78) 2008/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はyushitaさん
小鳥を捕り山菜を摘んだ丘には住宅が侵入し、団地を形成している。川はコンクリートで固められ、ただの水路だ。ウナギやフナがすみつく豊かさやぬくもりがない。チャンバラをし十五夜の綱引きをした道路は、車が高速で走り抜け、横断するのもひと苦労だ。帰省を喜んでくれたのは2人のいとこだけだ。
桜が咲き満ちて入学を迎えてくれた母校は、跡形もなく消えて寂しい限りだ。昭和の尾灯とともに故郷もまた、春のかすみの中に消え去ってゆく。
鹿児島市 福元啓刀(78) 2008/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はyushitaさん