はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

手作りマスコット

2008-04-11 20:45:07 | アカショウビンのつぶやき
 ブログフレンドから、思いがけない贈り物が届いた。
陶芸教室で作ったという、可愛いマスコット。
世界に一つしかない手作り…。うれしいなあ(*^o^*)。

「ブラウン・キティちゃん」、大事にするからね。
ありがとうございました。

一通の手紙に

2008-04-11 17:39:39 | 女の気持ち/男の気持ち
 朝7時、体調が安定しているのを確かめ、半身浴をする。ペースメーカーの位置にタオルをかけ、シャワーで他の部分を洗い流す。1週間ぶりだ。入浴中に倒れた時のことを考え、お風呂は朝にしている。玄関の鍵は預け、緊急連絡表と電話の子機を扉近くへ置く。
 1級の障害に加え、夫の急死のショックで歩行困難や視力の低下に見舞われ、介護が必要になった。遠くの姉妹は毎週安否確認の電話くれ、友人知人は食べ切れぬほど惣菜や野菜を持参し、病院通いの便宜まで図ってくれる。近隣の方も毎日の声かけとリサイクル、ゴミ運びをしてくれる。
 少しずつつえを持たないで歩く努力をしているが、「右手だけでは何もできない」と自暴自棄に陥ることもある。なにもかも忘却できれば、どんなに楽になれるだろう。いや、自分の心は自分で強くするしかないと自問自答する。
 突然、一通の手紙と香料が届いた。亡夫を知る方だが、私は面識がない。私と同様に子供もなく、ただ1人で涙を流した3年余りの体験と励ましの言葉がつづられていた。「一人だからと落ち込まないで、趣味を続けて、たくましく生き抜いて下さい」と結んであった。夜明けまで幼子のように枕をぬらした。
 ありがとう。今日から外へ出て、季節の移り行く様子を見ようと思う。
   薩摩川内市 上野昭子(79)2008/4/11 の気持ち掲載

いら立ち

2008-04-11 17:16:42 | はがき随筆
 「静まれ、落ち着け」と自分をなだめる。頂き物のクロダイを不慣れな包丁さばきで刺身にし、急ぎ帰る娘に持たせようとするが、いつになく不出来だ。
 夕食後、翌朝のゴミ出しのため台所の片付け洗浄を入念に。これまた時間がかかる。コーナー袋が残り少ない。就寝前、日誌をしたため、狂句を一ひねり。全く要領を得ない。
 翌朝BSニュースを見ながらパンと妻の好物の餅を焼き味噌汁を作る。少々焦げてしまう。8時過ぎ、ゴミを指定の網に出す。つまずきそうになった。
 家事の一こまだが、年甲斐もないいら立ちを恥じた。
   薩摩川内市 下市良幸(78) 2004/4/11 毎日新聞鹿児島版掲載

延長引き分け

2008-04-11 07:26:18 | はがき随筆

 今年のセンバツは白熱した好試合が多かった。全36試合のうち2点差以内が26試合。「大接戦の大会」を象徴するのが、鹿児島工が平安(京都)と演じた延長十五回引き分け再試合だろう。
 鹿児島は今春、引き分け再試合に不思議と縁がある。まず3月26日、九州地区高校野球大会県予選2回戦で、樟南と出水商が3-3で引き分け。甲子園での鹿児島工はその2日後である。
 珍しいことが続くと思っていたら、2~6日にあった九州地区高校軟式野球大会県予選では何と2度もお目にかかった。3日の準決勝で鹿児島商と育英館が1-1で引き分け。翌日の再試合を制した鹿児島商は、5日の決勝で今度は鹿児島実と3-3で引き分けた。軟式は、硬式に比べ球が飛ばないから点が入りにくいが、参加5校、4試合の大会で2度の引き分け再試合というのは高野連関係者も驚いていた。
 選手の健康管理の観点から延長引き分け再試合規定ができたのは1958年。春の四国大会で、今はタレントの板東英二さん(徳島商-中日)が連日の延長戦で計40イニングを投げ抜いたのがきっかけだ。徳島商は同年夏の甲子園で魚津(富山)と延長十八回引き分けを演じており、板東さんは自分が作らせた規定の適用第1号になった。
 春夏の甲子園では、名勝負と語り継がれる69年夏決勝・松山商-三沢(青森)戦など99年までに計4度(春1、夏3)。延長十八回が十五回になった00年以降は先日の鹿工-平安戦を含め5度(春3、夏2)あった。
 基準が3イニング短くなって出現率は上がったが、珍しいことに変わりはない。まして短期間に続けて起きるなんてめったにあるもんじゃない。
 軟式大会閉会式の帰り道、NHKの大河ドラマ「篤姫」にちなんだ例の観光ポスターがふと目に止まった。どうやら今年の鹿児島は、本当に「アツアツ」らしい。
鹿児島支局長 平山千里 2008/4/9 毎日新聞掲載