はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

三病息災

2008-04-21 07:57:38 | はがき随筆
 無病息災、一病息災という。中国のことわざでも一病は長命とあるらしい。医学の進歩の恩恵で二病、三病と仲良く暮らす人も多い。文豪漱石、天才ダ・ヴィンチは晩年、リウマチに苦労した。私もその仲間入りで日夜、妻の応援を受けて格闘中である。最近は一病「健忘症」が日々迫って困っている。これを直す薬はなく、自己処方箋で探す以外はないと脳活性の勉強中。新聞、読書、会話、映画、散歩と忙しい。これ以外の妙薬探しの旅もスローで、まだ未知の素晴らしい妙薬が隠れているかも。いずこも春の満艦飾で、生命の活気をもらっている。
   鹿屋市 小幡晋一郎(75) 2008/4/21 毎日新聞鹿児島版 特集-4

息してる

2008-04-21 07:56:19 | はがき随筆
 昭和40年代の教え子A子さんの夫がくも膜下出血で亡くなられた。
 行政手腕はますますさえ、住みよい社会の発展に貢献されていかれる方だったのに……。県、市全体を見据えた方が、思いもかけぬ仕打ちを受けて逝去される。世の矛盾を感じ、歯がゆい思いである。自分が息していてもいいのだろうかと思われてくる。
 古稀の私、今は心身共にまあまあである。訃報を知り、息することの大切さを思い知らされる。
  息することは根気のいることでもある。
   出水市 岩田昭治(68)2008/4/21 毎日新聞鹿児島版 特集-3

掲載300編

2008-04-21 07:55:39 | はがき随筆
 平成3年に本欄に初掲載されてから前回で300編。夫の霊前に報告した。最初のころは投稿者も少なく、月に2~3編、時には4編掲載の時も。当然、書くことが、楽しくて仕方なかった。平成11年に200編となり、はがき随筆と短歌などを「庭椅子」という本にまとめた。その表紙を描いてくれた夫はもういない。突然の悲しみから2年間、深い喪失感から書けなかった。
 この17年間、喜びも悲しみも随筆と共にあった。本欄を通じて得た友情もありがたい。これからもいのちある限りという気持ちで書き投稿していきたい。
   霧島市 秋峯いくよ(67) 2008/4/21 毎日新聞鹿児島版 特集-2

山グミ

2008-04-21 07:54:17 | はがき随筆
 松林でグミの木を見つけて、母が「山グミを食べると腹づまりを起こすよ」と言っていたのを思い出した。食べたら舌がグミの葉裏のように白くなるので、本当だと思っていた。
 小学生のころ、姉たちと「お大師詣り」といって遠くの寺まで歩かされたことがあった。今思うと、白い着物を着せてお遍路体験だったのだろう。腹が減ったので、道端になっていた山グミの小さい実を口にした。味は覚えていないが、腹はどうもなかった。
 今でもおなかをこわしがちで、腹巻きをさせたりお灸をすえたりした母の気持ちがしのばれる。
   鹿屋市 上村 泉(67) 2008/4/20 毎日新聞鹿児島版 特集-1