その昔、進学で上京した息子が、横浜見物に連れて行ってくれたことがあった。超方向音痴の私は、<まだ、彼はおのぼりさんの筈だけど…>と心配しながら彼の後について行った。
<横浜そごう>でウインドショッピングの最中、息子が「お母さん急いで1階まで降りて」「どうしたの」「いいから、急いで」と。何が起きたのか分からないけれど、ふうふう言いながらエスカレーターを駈け降りると、黒山の人だかり、その人々が同じように見上げているのは、大きな<からくり時計>だった。「もうすぐ、人形が出てくるよ」と言う息子。
私は幾つになっても人形大好き、作るのも大好きという幼稚な母親。この私に可愛い<からくり人形時計>を見せたいとの、息子の優しさにぐっと来てしまった私だった。今なら携帯でパチリだが、「どこかにカメラがある筈なんだけど…」と、バッグをごそごそやってると「人形が引っ込んじゃうよ…」と注意されてしまった。
人形たちが、とっても可愛かった(*^o^*)。
この思い出の時計も、今日午後8時、全国の10店舗で、からくり機能を停止させたと言う。一日11回、時刻の3分前になると文字盤が反転して世界の民族衣装をまとった人形が現れ、「イッツ・ア・スモールワールド」のテーマ曲に合わせユーモラスに動き、子供たちに人気があり、待ち合わせ場所としても親しまれていたという。
理由は老朽化だそうだが、私も間もなく後期高齢者、同じように老朽化が進み、大好きだった人形作りも出来なくなってしまった。手元に残っているのは古びた<赤毛のアン>の人形一体だけ。
そうそう、そごうのからくり時計を見た後で彼が連れて行ってくれたのは、<横浜人形の館>だったなあ…と、20年前のあの日を懐かしく思いだした。
写真は、その昔、あちこちへ貰われて行った可愛い子どもたち。現存するのは赤毛のアンだけ…。