裏通りの垣根越しに、枝々の先に筆の穂のようなふっくらとした包葉や6弁の花が見えた。ああ、コブシの花だ。澄んだ空に純白の花がまぶしい。
眺めているうち、ふと遠い昔が思い出された。田園広がる地方の中学校に勤めていたころ、3月の別れ遠足は毎年、徒歩で1時間半ばかりの遠く市街が見える丘だった。
途中、コブシの咲く民家の脇を通る。お下げ髪の生徒がきれいと見上げる。ふざけて畑に足を入れたりした丸刈りの生徒も、咲き誇るコブシに足を止めた。生徒たちの晴れやかな声が耳に残っている。
出水市 年神貞子(72) 2008/4/5 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はバセさんより
眺めているうち、ふと遠い昔が思い出された。田園広がる地方の中学校に勤めていたころ、3月の別れ遠足は毎年、徒歩で1時間半ばかりの遠く市街が見える丘だった。
途中、コブシの咲く民家の脇を通る。お下げ髪の生徒がきれいと見上げる。ふざけて畑に足を入れたりした丸刈りの生徒も、咲き誇るコブシに足を止めた。生徒たちの晴れやかな声が耳に残っている。
出水市 年神貞子(72) 2008/4/5 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はバセさんより