はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

変な一族

2009-03-02 14:54:03 | はがき随筆
 梅の花のにおうころ、91歳の母の友だちが、3人亡くなった。
 母は元気だが、持ち物の片づけをぼつぼつ始めている。
 母の日記帳を見ていたら、昭和57年、私の夫が亡くなったときに書いたものがあった。
 「夫は泣いてばかりいるが私は由井のことは心配しない。変な子だから大丈夫。実証ずみ」とあった。
 長男に話すと「おばあちゃんこそ、変に運が強いよね」と言う。  
 そういう彼は、何回も命拾いをしている。
 誰よりも変な子だ。
   阿久根市 別枝由井(67) 2009/3/2 毎日新聞鹿児島版掲載  



脱稿

2009-03-02 07:51:08 | はがき随筆
 小説を書いてやろうとひそかに思っていた。しかし挫折を繰り返すばかりで取っ掛かりだけが残っていた。ところが、ある作家の教訓を耳にしてから筆が進み、去年の秋から書き始めた原稿が思いもかけない枚数になった。当初は100枚程と考えていた話が200枚でやっと脱稿にこぎ着けた。この量になると推敲するのも大変で、睡魔と闘うこともしばしばである。
 面白くないからと思い知らされるわけだが、5年後、10年後に読み返すのを楽しみにしている。妻は単なる反故の山と見ているようだが、果たして読む気になるのかしら?
   志布志市 若宮庸成(69) 2009/3/1 毎日新聞鹿児島版掲載