はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

母とのつながり

2007-09-08 16:11:20 | はがき随筆
 敬老の日が来る。母は10月で卒寿。立派な老人だ。できそこないの娘のために頑張って生きていてくれる。見事、立派と言わずして何と表せよう。母のこれまでの人生が楽でなかっただけに、そう言えるのだ。
 しかし、娘にはみじんも苦労など見せず、明るく笑って接してくれていたからこそ、六十を越えた私も、母とのつながりだけは絶ちたくない。
 私の一方通行のハガキ通信だが、母にも、絵付けし体調良は○、不調は×だけのハガキ、書いてほしいな。
 娘より。
 母さんへ。
  鹿児島市 吉利万里子(61) 2007/9/8 毎日新聞鹿児島版掲載

医師免許随想

2007-09-07 08:08:24 | はがき随筆
 教員免許の更新制が実現した。良質の教員確保のためには当然であろう。
 次は2年前、医療ミスが多発し免許の更新が検討されたが、立ち消えとなった医師免許の更新制実現を急ぐべきである。医師は、人の命をあずかる職業である。慎重の上にも慎重を期さねばならず、医療ミスを防止するため、医師としての適性などを定期的にチェックする必要がある。患者は医師に全幅の信頼を置くしかなく、更新制が必要なことは疑う余地などない。免許に有効期限を設け、更新時に不適格とされた場合は、人命にかかわることゆえ、免許ははく奪すべきだと思う。
   鹿児島市 川端清一郎(60) 2007/9/7 毎日新聞鹿児島版掲載

ポリープふたつ

2007-09-06 20:22:42 | アカショウビンのつぶやき

高隈山には 秋の雲が




ようやく七分がゆ


最後の朝食は、ようやく普通食になりました


美味しいスイカのゼリーもありました


お隣のベッドのIさん、看護士さんはみんな仲良し


 「ただいまー、異常なしでした(*^_^*)」と報告したいのですが……。
内視鏡検査の結果は、グレーでした。

 一緒に検査を受けたのは3人。控え室には1500㏄の大きなペットボトルがドーンと置かれています。3人とも最初はなかなか下剤が効かないと嘆いていたのですが、1000㏄を飲み終わる頃から、急激にお腹が空になっていき、いよいよ検査開始です。安定剤がよく効く私は、朦朧としているうちに検査が終わってしまいました。一緒に受けたお二人は異常なしでお帰りになったようですが、私だけ2泊3日の入院に。

 夕方、説明に現れた、ニコニコ顔の院長は、大腸の写真を見せて
「ポリープが二つありましたが、きれいに取れましたよ! 後は一週間後の組織検査の結果を待ってくださいね、但しポリープを切除した跡はクリップで留めてありますから、今後2週間は、これこれしかじか…」
と生活面の指導がいっぱいあり、「14日にもう一度きてくださいね」で終わりました。

 その時は、「異常なしですよ」と説明されたかのような錯覚に陥り、一緒に聞いてくれた姉夫婦と、「よかったぁ、これで命拾いだね」なんて、喜んだのですが……。

 後で頭を冷やして考えたら、「大丈夫ですよ」とは、一言も仰ってないことに気がつきました。さっきの写真を取り出し、しげしげ眺めると、1個はマスカットのようなつるつるの楕円形ですが、もう一つは富士山みたい。裾野は大きく広がり、頂上はゴツゴツ。あれーっ(>_<)これはヤバイ! と気がつきました。

 翌朝回診に見えた、相変わらずニコニコと優しそうな院長に、もう一度尋ねました。
「先生、こっちのポリープが気になるんですがー」すると
「その大きさなら全然心配いりませんよ」ですって。
と言うことは…??。

 14日が待ち遠しいアカショウビンでした。




粋なおしゃれ

2007-09-06 20:22:25 | はがき随筆
 私は日本の文化や精神が伝わってくる着物が好きだ。
 正月や気分を変えたい時に着物を着るが、細帯の締め心地、足袋の履き心地などは、洋服では味わえない身体に快い刺激である。
 女性の場合は着付けができないと難しいという点がある。だが男性の場合は、おはしょりなしの細帯一本なので慣れてしまえばすぐに着れ、粋なおしゃれを楽しめる。
 着物が似合わない日本人はいない。古くからある素晴らしい着物を、現代的センスで、多くの人に日常的に着こなしてもらいたいと思う。
   鹿児島市 吉松幸夫(49) 2007/9/6 毎日新聞鹿児島版掲載

父の入院

2007-09-06 20:15:23 | はがき随筆
 高校2年の夏休みも終わりに近づくころ、その日は出校日だったのだろう。お金をためてやっと英語の辞書を手に入れ、意気揚々と帰宅の途中、親戚の伯父さんに自転車で拾われた。
 水田に農薬を散布した父が昼食後に倒れて病院に運ばれたらしい。母を3年前に亡くしていたので「二親とも亡くして可哀そうに」と伯父さんのつぶやきが聞こえた。
 幸い父は一命を取りとめたものの、入院費用やその後の生活を案じて悶々とした数日を過ごした。新しい母に父を託して自活しかない、と父の入院で初めて人生の岐路に立った。
   霧島市 口町円子(67)2007/9/5 毎日新聞鹿児島版掲載

ただ今点滴中 

2007-09-04 07:22:59 | はがき随筆
 孫2人が3日居て、帰った翌日、炎天下に庭の草取りをしたら体中に発しん。虫に刺されたと思い、かゆみと一晩中戦った。朝一番に皮膚科へ。疲労によるじんましんと即断された。
 時を同じくして首の痛みもあり、寝違えかなと放っといたら、熱中症によるもので点滴する羽目になった。
 隣のベッドには救急車で運ばれた老婦人。息子さんがほほをよせるようにして話しかけている。女の子が「おばあちゃん大丈夫? 何かほしいものはない?」と心配そうに声をかける。
 外は相変わらず暑い日が続いている病院の回復室でのこと……。
   薩摩川内市 馬場園征子(66) 2007/9/4 毎日新聞鹿児島版掲載

お腹空いたぁ

2007-09-03 16:08:52 | アカショウビンのつぶやき
 食べられないとなると、食欲がもりもり出てくる不思議…。

そうなんです、今日は侘びしい検査食を頂き、明日はお腹を空っぽにして検査なんです。
 「しばらく人間ドックに行ってないから、今年は…」と軽い気持ちで受けたのですが、精密検査二つも! びっくりです。
放置する勇気もなく、大腸検査を明日受けることにしました。

「ポリープがあったら、内視鏡で切除しますから、その場合は2泊三日の入院になります」なんですって。
ええーっ、そうなの! 今まで元気に過ごし、胃カメラぐらいしか体験したことのないアカショウビンにとっては、大変なことです。
検査の説明はいろいろあって、パニックをおこしそう…。
看護士さんは、心配そうに「分かりましたか、大丈夫ですか」と再三念を押す。
「今はわかったつもりです」と正直に言うと、笑っていた。

 慌ただしく入院準備をすませ、今は「まな板の鯉」の心境。
異状があってもなくても、それが今の私に必要なこと…。
でも「異状ありませんよ」の言葉を期待して行って参ります。
ブログを少しお休みするかもしれません。
ちょっぴり不安なアカショウビンでした。


義姉を迎えて

2007-09-03 05:48:50 | はがき随筆
 宮崎市で長く料理教室を経営していた義姉が、教え子たちの強い要望で宮崎に腰を据えるという。義姉は祖母家の跡継ぎ。義妹の熱心な説得で、義姉は帰宅を決意した。長く空き家にしていた鹿児島の家の入居作業に家族は懸命。息子は祖母の広い屋敷内に新築して2児に恵まれ、長男は県外に就職、一女は県外の大学生。義姉は7月1日に荷物と同時期宅。待っていた家族は抱きあって喜ぶ。お盆の最終日には妻の家族が私宅に集まり、先祖の話題で盛り上がる。義姉は背筋は曲がっているが妹より元気。私より3歳年下だから「節ちゃん」と読んでいる。
   姶良町 谷山 潔(81) 2007/9/3 毎日新聞鹿児島版掲載

困った

2007-09-02 07:56:26 | はがき随筆
 裏の畑のスイカが実をつけ始めた。母が一つちぎってきた。よく熟れている。
 「おいしいね。いっぱい実をつけているから、熟れるのが楽しみだね」と喜んでいたら「スイカがつつかれている」と母。
 「ガアガア」。あの黒い物体はカラスだ。仲間を呼んでつっついている。小さい実、大きい実、熟れている実、熟れていない実、どれこれかまわずつっつくので困ったものだ。カラスにもカラスの事情がうるのだろうが……。
 自然の中で生かされている厳しさを思った。
   出水市 山岡淳子(49) 2007/9/2 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真はちひろさんよりお借りしました。

関東大震災

2007-09-01 07:18:21 | アカショウビンのつぶやき
 1923(大正12)年9月1日、関東全域と静岡、山梨に甚大な被害をもたらした関東大震災。幼い子ども2人を抱えて震災を生きのびた母は、当時の模様をよく話してくれた。

 当時、母方の両親は東京下町の本所に住んでいたが、祖父は、陸軍本所被服廠跡の大惨事に巻き込まれて死亡した。母が住んでいた所は火災は免れたものの、真っ赤に灼けた空を見上げながら、繰り返し起こる余震に恐怖の日々だったらしい。数日後、体中煤だらけの祖母が一人で母の元に辿り着いた時は、お化けのようだったと話していた。当時陸軍近衛兵だった父は、この混乱の時は家に帰れず、若い母はどんなに心細かったことだろう。
 
 更に恐怖を感じたのは「朝鮮人が襲ってくる」というデマだったらしい。正しい情報が伝わらないために、社会不安がかきたてられ、多くの朝鮮人や中国人が犠牲になり、更に社会主義者の弾圧など、この混乱に乗じた事件が続発したと言う。本当に不幸なことであった。

 その気丈な母も世を去って43年。震災の恐怖から、「グラッと来たら雨戸を外し、火鉢を抱えて外に出る」を実行した人だったが、今、この程度の地震が都心を襲ったらどのような大惨事になるか予想もつかない。

 最近次々に大きな地震が各地で発生する。「忘れないうちに」やってくる災害に、私たちは何ができるのだろう。人間の力の限界を感じずにはいられない。

 今日は「防災の日」。
昔は「二百十日はオオカゼ が吹く」と怖かったものだが、この頃の台風は夏が来る前にもやってくる。
目の前の防災リュックは、この小さな体で背負って歩けるのか、不安になるほど、パンパンにふくれあがっている…。
必要最低限に押さえないと、リュックに押しつぶされそうだ、さあもう一度点検しよう!
しかし、このリュックを背負うことがないことを切に祈るアカショウビンです。 



ゴルフ

2007-09-01 07:17:36 | はがき随筆
 気の合う仲間と県内のゴルフ場巡りを計画し、3年半で大願成就。
 四季折々の景色をながめ、名物をいただき、たくさんの人と触れ合い一喜一憂。一度きりの人生を同じ趣味の人と共有し楽しみ、忘れ得ない思い出を作ることができた。
 見知らぬクラブハウスを訪ねる楽しさや、わくわくしながら初めてのコースでプレーする楽しさ。還暦を間近にして、健康な身体をくれた両親に感謝。3人の仲間にも感謝。
 ツクツクホウシの声が聞こえるころには、よくばって隣県にも足を延ばしたい。
   指宿市 有村好一(58) 2007/9/1 毎日新聞鹿児島版掲載