賢者の愛
2018-08-26 | 読書
この作品は
谷崎潤一郎の
「痴人の愛」に影響されたと言うか
ヒントに描かれた
作品らしい
谷崎作品は
「陰翳礼讃」「春琴抄」「細雪」
くらいしか読んだことない…
「痴人の愛」は
質素で凡庸
何の不平も不満もなく
電気技師として
真面目過ぎるほど
真面目に仕事をしていた
模範的なサラリーマン
河合譲治が
カフェーの女給
ナオミを
自分の理想の女性に育て
いずれは妻にしようとするも
逆に
少女にとりつかれ破滅するまでの
足かけ8年前から
約5年間の
回顧として書かれているそうです
「賢者の愛」は
河合譲治のような
愚かな男にはならないと言う
主人公・高中真由子が
最愛の父
正吾を自殺に追いやり
自分の初恋の人
澤村諒一を寝取った
朝倉百合に
復讐する話なのですが
その復讐がですね
歪んでいます
諒一と百合夫婦に生まれた
男の子に
直巳(ナオミ)と名付け
自分だけを
盲目的に愛する男に
育てると言うか
調教しようとするんです
物語は
直巳が25歳の時で
終わるので
足かけ25年の
復讐劇になるわけです
ですが
読んでいく中で
これ復讐なの?
これが
真由子の言う
‘賢者’って誰?
誰の‘愛’?
わからん…
裕福な家庭に育ち
愛するひとたちに
大切に守られ育てられ
人を疑ったり
貶めったりする心なんて
持ち合わせていない
これぞ良家の真由子が
父の後を追うように
出版社に務め
才能を如何なく発揮!
容姿端麗
経済力もある真由子は
一見
新しい時代の
自立した女性
そんな素敵な女性が
何故
初恋の男に
未練たらたら?
復讐と称して
夫婦の子供直巳を
調教しようとする?
直巳との関係を
百合に知れたあと
動揺した真由子が呼び出したのは
諒一でした
リュウ兄さまあ!と
泣きだしその胸に倒れこむ…
直巳の立場
ないやん
だいたいやね
最後の最後に
告白めいたことするなら
諒一
奪いかえせばよかったやん!
それだけの
ことやん!?
そうはせず
赤ん坊に目をつける
その発想…
歪んでる
それ以前に
子供の時分から
自分のモノを異様に欲しがる
百合の体質に
危機感募らせるとか
ちょうだいちょうだい
と言われるがまま
何でも
渡してしまっていた
自分の性格とか
疑問もとうよ…
十一章で
百合は
真由子を道ずれに
自殺を謀ります
マユちゃんの人生 丸ごとユリにちょうだい
百合は
真由子の父親
正吾や
真由子の初恋の男
澤村諒一を愛していたんじゃなく
真由子そのものが
欲しかった
真由子そのものに
なりたかったんだ
と言う事に
気づかされます
直巳に対する
百合の母性を
感じなかったのも
そのせい?
逆に
百合が母性を発揮して
直巳との
親子関係が
密だったら
母親より2歳年上の
真由子に対して
異性を感じることは
なかったのかもしれない
男と女と言う関係も
成立しなかったか…
最終章
百合は即死
真由子は
首から下の機能を失い
心理的ショックから
言葉も
発することができなくなりました
ですが
そのかたわらには
直巳がいる
一年前
深夜に百合と真由子が
何故
東北自動車を走っていたのか
ふたりの間に
何があったのか
誰も知らない
そして
父親と
真由子の間に
何があったのか
直巳が知ることもない
直巳だけが
変わることなく
真由子を愛し続ける
直巳こそが
‘賢者’であり
‘賢者の愛’とは
直巳の愛をさしているのか?
と思いきや
車椅子に腰掛ける真由子の元に
戻ったきた直巳のかたわらに
若い女性が登場
少々はすっぱな品のなさが
姿形の美しさに性的魅力を加えているといった類の女です
真由子に目を留めて
途端に緊張した表情を浮かべました
この女って
一章に登場した‘香’じゃないよね…
今日は
海に反射する陽ざしがとても綺麗なので
それを背景に
二人でマユちゃんを楽しませてあげるんです
屈託のない直巳の口振り…
その時
彼女の口許が
苦し気な様子で
こう開いたように感じたのは
錯覚でしょうか
「ナ、オ、ミ」
それを背景に
楽しませるって
こ、これは
実は
直巳の復讐なのか?
いや
直巳に
その気はなくても
百合の心の叫びを
聞いてしまった真由子にとって
最後の最後に
諒一と一線を越えた真由子にって
直巳が側にいること自体が
みはや復讐!?
いや
諒一との関係後
直巳ともあったから
真由子に罪悪感ないか…
これ以上ないほどの
優しい笑みをたたえて車椅子に近寄る直巳は
やがて六十歳になるでしょう
そしてその時
真由子は
八十二歳になっているでしょう
永遠をスライスしながら
二人はずっとずっと一緒です
~完~
少しずつリハビリ始めるとか
書いてあったし
そのうち
真由子
話せるようになるかもしれません
直巳の
真由子に対する愛情は
植えつけられた
調教された
ものかもしれない
けれど
永遠であって欲しい
そしていつか
真由子の心が
時の流れと共に
穏やかに清められることを
祈るのみです
谷崎潤一郎の
「痴人の愛」に影響されたと言うか
ヒントに描かれた
作品らしい
谷崎作品は
「陰翳礼讃」「春琴抄」「細雪」
くらいしか読んだことない…
「痴人の愛」は
質素で凡庸
何の不平も不満もなく
電気技師として
真面目過ぎるほど
真面目に仕事をしていた
模範的なサラリーマン
河合譲治が
カフェーの女給
ナオミを
自分の理想の女性に育て
いずれは妻にしようとするも
逆に
少女にとりつかれ破滅するまでの
足かけ8年前から
約5年間の
回顧として書かれているそうです
「賢者の愛」は
河合譲治のような
愚かな男にはならないと言う
主人公・高中真由子が
最愛の父
正吾を自殺に追いやり
自分の初恋の人
澤村諒一を寝取った
朝倉百合に
復讐する話なのですが
その復讐がですね
歪んでいます
諒一と百合夫婦に生まれた
男の子に
直巳(ナオミ)と名付け
自分だけを
盲目的に愛する男に
育てると言うか
調教しようとするんです
物語は
直巳が25歳の時で
終わるので
足かけ25年の
復讐劇になるわけです
ですが
読んでいく中で
これ復讐なの?
これが
真由子の言う
‘賢者’って誰?
誰の‘愛’?
わからん…
裕福な家庭に育ち
愛するひとたちに
大切に守られ育てられ
人を疑ったり
貶めったりする心なんて
持ち合わせていない
これぞ良家の真由子が
父の後を追うように
出版社に務め
才能を如何なく発揮!
容姿端麗
経済力もある真由子は
一見
新しい時代の
自立した女性
そんな素敵な女性が
何故
初恋の男に
未練たらたら?
復讐と称して
夫婦の子供直巳を
調教しようとする?
直巳との関係を
百合に知れたあと
動揺した真由子が呼び出したのは
諒一でした
リュウ兄さまあ!と
泣きだしその胸に倒れこむ…
直巳の立場
ないやん
だいたいやね
最後の最後に
告白めいたことするなら
諒一
奪いかえせばよかったやん!
それだけの
ことやん!?
そうはせず
赤ん坊に目をつける
その発想…
歪んでる
それ以前に
子供の時分から
自分のモノを異様に欲しがる
百合の体質に
危機感募らせるとか
ちょうだいちょうだい
と言われるがまま
何でも
渡してしまっていた
自分の性格とか
疑問もとうよ…
十一章で
百合は
真由子を道ずれに
自殺を謀ります
マユちゃんの人生 丸ごとユリにちょうだい
百合は
真由子の父親
正吾や
真由子の初恋の男
澤村諒一を愛していたんじゃなく
真由子そのものが
欲しかった
真由子そのものに
なりたかったんだ
と言う事に
気づかされます
直巳に対する
百合の母性を
感じなかったのも
そのせい?
逆に
百合が母性を発揮して
直巳との
親子関係が
密だったら
母親より2歳年上の
真由子に対して
異性を感じることは
なかったのかもしれない
男と女と言う関係も
成立しなかったか…
最終章
百合は即死
真由子は
首から下の機能を失い
心理的ショックから
言葉も
発することができなくなりました
ですが
そのかたわらには
直巳がいる
一年前
深夜に百合と真由子が
何故
東北自動車を走っていたのか
ふたりの間に
何があったのか
誰も知らない
そして
父親と
真由子の間に
何があったのか
直巳が知ることもない
直巳だけが
変わることなく
真由子を愛し続ける
直巳こそが
‘賢者’であり
‘賢者の愛’とは
直巳の愛をさしているのか?
と思いきや
車椅子に腰掛ける真由子の元に
戻ったきた直巳のかたわらに
若い女性が登場
少々はすっぱな品のなさが
姿形の美しさに性的魅力を加えているといった類の女です
真由子に目を留めて
途端に緊張した表情を浮かべました
この女って
一章に登場した‘香’じゃないよね…
今日は
海に反射する陽ざしがとても綺麗なので
それを背景に
二人でマユちゃんを楽しませてあげるんです
屈託のない直巳の口振り…
その時
彼女の口許が
苦し気な様子で
こう開いたように感じたのは
錯覚でしょうか
「ナ、オ、ミ」
それを背景に
楽しませるって
こ、これは
実は
直巳の復讐なのか?
いや
直巳に
その気はなくても
百合の心の叫びを
聞いてしまった真由子にとって
最後の最後に
諒一と一線を越えた真由子にって
直巳が側にいること自体が
みはや復讐!?
いや
諒一との関係後
直巳ともあったから
真由子に罪悪感ないか…
これ以上ないほどの
優しい笑みをたたえて車椅子に近寄る直巳は
やがて六十歳になるでしょう
そしてその時
真由子は
八十二歳になっているでしょう
永遠をスライスしながら
二人はずっとずっと一緒です
~完~
少しずつリハビリ始めるとか
書いてあったし
そのうち
真由子
話せるようになるかもしれません
直巳の
真由子に対する愛情は
植えつけられた
調教された
ものかもしれない
けれど
永遠であって欲しい
そしていつか
真由子の心が
時の流れと共に
穏やかに清められることを
祈るのみです