谷崎潤一郎の小説「春琴抄」と
随筆「陰翳礼讃」をモチーフにした『春琴』
幼いころに失明しながらも
三味線の指導者となる春琴と
彼女の衣食住すべてを献身的に世話する
奉公人・佐助との究極の愛を描いた物語に
「陰翳礼讃」で谷崎が描いた
陰翳のあやに存在する日本の美学
が織り込まれています
俳優の動きを際立たせるシンプルな舞台装置
陰影に富んだ照明
耳に強く残る三味線の音色
洗練された舞台空間で
濃密かつ重層的に繰り広げられる物語
世田谷パブリックシアター/シアタートラムHPより引用
久しぶりに
見終わった後
背筋がゾクっとした…
同じ
美を追求した
作家・三島由紀夫
美と老いは相反するものであり
老い=醜悪という思いが強かった
三島由紀夫とはえらく違います
谷崎潤一郎は
随筆「陰影礼賛」の中で
美は物体にあるのではなく
物体と物体との作り出す陰翳のあや・明暗にあると考え
それらを
漆器の椀・座敷の砂壁・障子の陰翳
文楽の人形・日本女性の美と闇の相互関係等々
例をあげて語っております
日本の伝統様式の中から
見出され育まれて来た‘美’に対する意識・感覚
しかしそれが
日一日と、崩れ、消え去るものである…
滅びゆくものをいとおしみながらも
滅びるままにするしか仕方ない!
それよりも
来るべき新しき事態に対し
我々日本人が
どのように対峙し
適応すべきかを明快に解き明かしたのが
「陰翳礼賛」の逆説的な真意なのでは?
と思っております
変化を否とするのが
三島由紀夫の‘美’なら
変化を肯定するのが
谷崎潤一郎の‘美’かな?
演出家サイモン・マクバーニーは
かつては身近に感じ
共存していたであろう
日本人の‘美意識’が消え去ろうとしていることに
危機感を覚え
「春琴」を通して
我々現代人に警鐘を発しているようにも感じました
「日本への回帰」を意図としているのか
谷崎潤一郎同様
その先にある
‘来るべき新しき事態に対する意識’を
意識しているのか…
ともかく
歎美な世界が
此処にあります!
演技を終え
俳優陣が揃って舞台に登場する中
深っちゃんこと深津絵里さんが
自分の演じた春琴から
まだ抜け切れていないような
半ば恍惚状態の表情を残したまま
舞台上に立つ姿…
その姿をみつめているうちに
感極まってしまいました
静かな感動と申しますか
心の奥底にある何かが
共鳴した感じです
琴線に触れるっていうのかな?
幼少期の春琴を人形が演じ
その後
俳優が入れ替わって演じていくという
演出もなかなか面白かったです
今週一杯
上演中でございます
立ち見が若干あるようなので
是非足を運んで頂きたい
絶品です
随筆「陰翳礼讃」をモチーフにした『春琴』
幼いころに失明しながらも
三味線の指導者となる春琴と
彼女の衣食住すべてを献身的に世話する
奉公人・佐助との究極の愛を描いた物語に
「陰翳礼讃」で谷崎が描いた
陰翳のあやに存在する日本の美学
が織り込まれています
俳優の動きを際立たせるシンプルな舞台装置
陰影に富んだ照明
耳に強く残る三味線の音色
洗練された舞台空間で
濃密かつ重層的に繰り広げられる物語
世田谷パブリックシアター/シアタートラムHPより引用
久しぶりに
見終わった後
背筋がゾクっとした…
同じ
美を追求した
作家・三島由紀夫
美と老いは相反するものであり
老い=醜悪という思いが強かった
三島由紀夫とはえらく違います
谷崎潤一郎は
随筆「陰影礼賛」の中で
美は物体にあるのではなく
物体と物体との作り出す陰翳のあや・明暗にあると考え
それらを
漆器の椀・座敷の砂壁・障子の陰翳
文楽の人形・日本女性の美と闇の相互関係等々
例をあげて語っております
日本の伝統様式の中から
見出され育まれて来た‘美’に対する意識・感覚
しかしそれが
日一日と、崩れ、消え去るものである…
滅びゆくものをいとおしみながらも
滅びるままにするしか仕方ない!
それよりも
来るべき新しき事態に対し
我々日本人が
どのように対峙し
適応すべきかを明快に解き明かしたのが
「陰翳礼賛」の逆説的な真意なのでは?
と思っております
変化を否とするのが
三島由紀夫の‘美’なら
変化を肯定するのが
谷崎潤一郎の‘美’かな?
演出家サイモン・マクバーニーは
かつては身近に感じ
共存していたであろう
日本人の‘美意識’が消え去ろうとしていることに
危機感を覚え
「春琴」を通して
我々現代人に警鐘を発しているようにも感じました
「日本への回帰」を意図としているのか
谷崎潤一郎同様
その先にある
‘来るべき新しき事態に対する意識’を
意識しているのか…
ともかく
歎美な世界が
此処にあります!
演技を終え
俳優陣が揃って舞台に登場する中
深っちゃんこと深津絵里さんが
自分の演じた春琴から
まだ抜け切れていないような
半ば恍惚状態の表情を残したまま
舞台上に立つ姿…
その姿をみつめているうちに
感極まってしまいました
静かな感動と申しますか
心の奥底にある何かが
共鳴した感じです
琴線に触れるっていうのかな?
幼少期の春琴を人形が演じ
その後
俳優が入れ替わって演じていくという
演出もなかなか面白かったです
今週一杯
上演中でございます
立ち見が若干あるようなので
是非足を運んで頂きたい
絶品です