時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

江戸時代もの2 ~こころげそう~ 105

2010-09-05 | 読書
下っ引き宇多の幼なじみの兄妹
千之助と於ふじが
神田川で溺れ死んでいるのが見つかった

自ら落ちたのか
襲われたのか

真相は今だ解らず…

妻を早くに亡くし
更に
二人の兄妹を喪った
小間物屋大和屋の主・由紀兵衛は
お店を譲り
由紀兵衛長屋の大家として
ひっそり暮らしていた

そんな由紀兵衛を心配して
岡っ引き・宇多が長屋を訪れた

(因みに‘宇多’って俺のことね)

で宇多は
そこでとんでもないモノを見ちまった?
出くわしちまったんだ

於ふじ!?

二度と会えないと思っていた
想いを伝えられぬまま逝ってしまった於ふじが
なんと
幽霊になって目の前に現れた…

死んだ自分の枕元で
余りに嘆く父親・由紀兵衛が不憫になり
この世に留まっていると言う

どうして千之助と於ふじちゃんが
同じ時に死ぬ羽目になったのか訊ねてみたんだが
どうも
そのあたりの記憶がないらしい

ともかく
こうして再び合えることが出来たのは嬉しいけど
夜な夜な由紀兵衛さんの所に現れる
於ふじちゃんの存在を人に知られちゃまずい!
そうでなくても
最近
この長屋に幽霊が出るって噂が…

宇多と於ふじ
千之助を含めた幼なじみ
お染・おまつ・お品・お絹・弥太・重松の男女9人
他の奴らにも於ふじのことを知らせてやりたいが
そう簡単には事は運ばない
何故って?

それは…


揃いも揃った男女9人
悲しいかな
彼らのの矢は
一方通行ばかりです

小さかった頃は
身分とか階級とか
関係なかったのにね…

幼馴染を襲った不運の出来事
謎ばかりの事件が
次第につまびらかにされ
その発端が何と…

報われぬ想い
それを
貫こうとする友もいれば
新しい一歩を踏み出そうとする友もいます
人生って
厳しいわ~

幼馴染の面々が
それぞれに新たな岐路に立ち
迷いながらも
力強く歩んでいく姿は
清々しい

再び
於ふじを失った宇多ではありますが
彼女から託された思いを
しっかり受け止め
生きていって貰いたいです

何故
そんな風に思ったかと申しますと

読み終わった後の
余韻と云うか印象が
セピア色に染まった古い写真みたい
自分がどんなに於ふじ好きだったのか
それを実感する
切ないシーンなのではありますが
若者の覇気が感じられず
心配になってしまいまいした

宇多は
新しい恋
出来るんでしょうか…
お絹が傍にいるから大丈夫?


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