韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

日韓トキシンポジウム(2)

2010-12-17 01:26:13 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 さて、ハゲワシ観察の後は、お昼ご飯。

 

 キム・ドクソン先生の紹介のお店。タラやビクニン(カサゴの仲間、韓国語では물메기と言いました)のスープがおいしいです。さっぱりして、体が温まります。(すみません、食事の解説と通訳と食べるのに忙しく、写真がありません)コソンに行ったら、ぜひどうぞ。

 

 

 さて、その後、コソン郡が作った農業技術関係の研究所を訪問。ここではお金のかからない有機農業を目指しています。というのも、韓国では有機農業で使う肥料も専門の業者(だったと思います)から購入するため、かなり高いそうです。有機肥料を購入するという話はパルダンでも聞いたことがありますが、どうなんでしょうね。堆肥を作るにしても無農薬の草木や葉を集めるのですから、大変なのは分かりますが。
 また、ここでは除草剤や農薬の代わりに漢方薬を使っています。農業もやっている土谷さんや植物生態学が専門の本間先生、いろいろ聞きたかったようですが、時間がなく、残念でした。ぜひ、次の機会にどうぞ。(もしかすると、この研究所のスタッフが6月に佐渡に行くかもしれませんね)

 

 

 その後、コソン郡の役場に行って、郡知事と挨拶。実は、名古屋のCOP10のとき、飲み屋であった方で、有機農業や環境にとても関心がある知事です。
 下の写真は、コソン郡役場の前庭にある恐竜の模型。コソンには世界でも有数な恐竜の足跡が化石で残っているところ。このあと、恐竜エキスポの会場にも立ち寄りました。

 

 さて、コソンでは田圃に入って、トキの餌場になるかどうかのチェックをして見ました。
 
 

 根っこの周りにミミズが作った穴があったり、モグラが通った後があったりすればOKです。また、わらを敷いておくとその下にクモが棲みつき、クモを食べるほかの生物がくるので、トキの餌場になるそうです。

 また、水路を点検してみました。この写真の水路よりちょっと幅が広ければ大丈夫だそうです。ただ、壁の部分が90度に近いのはだめで、トキが歩いてあがれるぐらいの傾斜が必要です。もちろん、水路がコンクリートで固められているのもだめです。

  

 やはり、こうやって経験者と現場を歩くと、よく分かりますね。ウポ沼に行かなくても、どんな田圃にトキが来るか、トキはどんなやりかたで餌を食べるのかも調査しましょう。
 
 

 さて、翌日の10日がシンポジウム。PGA湿地生態研究所のハン・ドンウック所長から10月の佐渡での調査を踏まえて、どのような基準でウポ沼周辺の餌場つくりをするかという報告があり、そのあとは、日本からの発表が中心に行われました。

 
  
 トップバッターは新潟大の本間航介教授。トキはアジアの鳥だという言葉が印象的でした。放鳥のあと、トキがどのようなところに暮らしているかがよく分かりましたね。

 

 次が環境省野生復帰ステーションの笹渕保護官。今までの放鳥の方法とその後の様子を具体的に説明してくれました。特にハードリリースとソフトリリースの違いで、その後のトキの生息の状況がまったく違うのに驚きました。

 

 三番打者が土谷さん。毎朝、モニタリングを行い、夕方にはモニタリング担当者で報告会をして、その間に働いているという、ものすごい方です。中学生ぐらいからトキや鳥を追いかけ始めたそうで、本当にトキをよく知っています。でも、いつもトキから教わっているそうです。

 
 
 最後が佐渡市役所の池さん。エンターテーナーというか営業部長というか、この方もすごいですね。善意やボランティアでは長続きしない、生業(この言葉は使っていませんが)と結びつかない限り、トキの餌場つくりは失敗すると言う話には説得力があります。この発想は、僕たちが関わっている湿地保全の<賢明な利用>にも繋がりますし、僕がやろうと考えている<日韓環境情報センター>も生業としてやらない限り長続きしないでしょう。
 このことを<認証米>という形で実現させた佐渡の人たちの底力には圧倒されました。でも、みんなでわいわいやりながら始めたみたいで、土谷さんをはじめとする佐渡の人たちがバス1台で豊岡に行ったのがきっかけだったというのも、興味深い話でした。(こんど佐渡でゆっくり聞かせてください)

 

 

 最終日は移動日。早めにソウルに戻って、延世大学、インサドン、清渓川公園や広蔵市場(クァンジャン・シジャン)を見学。夜、18時の飛行機で新潟へ帰国。お疲れ様でした。ということで、嵐のような4日間でした。(それなのに、通訳費は3日分とはいったいどんな計算なんでしょう?)

 さて、韓国でのトキの放鳥ですが、来年中には国の保護鳥に復活する予定です。そうすれば政府予算も付くので、僕も通訳費だけでなく事前の打ち合わせ費やネットワーク運営費などもちゃんともらえるように、ならないかな…。

 それはさておき、6月の第2日曜日に佐渡で行われる<田圃の生き物調査>に、ウポ沼やコソン、慶尚南道や環境部の担当者なども参加して、懸案事項を一気に解決するのが早そうです。日本の環境省の担当者も参加すれば、いろいろ突っ込んだ話もできるわけで、これが当分の間、ポイントになりそうです。まあ、僕個人としては、20名から30名ぐらいのメンバーで参加できれば良いなと、思っています。

 今後、多くの人の協力や支援が必要になると思いますが、ぜひよろしくお願いします。