憲法九条(平和条項)の出所は、幣原の『外交15年』やマッカーサーの『自伝』の該当箇所を付き合わせて読めばおよそ明らかですが、これは第三者(高柳総領事)からマッカーサーにその確認を取っている貴重な文書です。
マッカーサーから高柳総領事への返信。1958年12月15日。
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親愛なる高柳博士へ
12月10日付けの短信、只今拝見しました。お問い合わせの件に付き、取り急ぎ返答差し上げます。
「新憲法を起草の際、幣原首相が草案中に戦争と軍備の放棄を含む提案をされたというのは本当でしょうか?あるいは、首相はこの様な考えを、単に将来の政策として貴殿に表明したもので、貴殿の方から日本政府へ、新憲法に加えるべき理念として提案されたものでしようか?」
戦争放棄の条項を提案したのは幣原首相です。憲法に関して私との面談を求めた際、この様な条項を憲法に加えることで、私がどの様な態度を示すか危惧を抱いていた、と彼は語りました。私が職業軍人の経歴を持っていたからです。私はその提言に極めて驚きましたが全面的に支持することを保証しました。彼は明らかに安堵し、それは実に感動的なものでした。
季節のご挨拶と兼ねて 敬具
ダグラス・マッカーサー
1958年12月15日
ハワイ州、ホノルル市、ヌウアヌ通り1742
憲法調査会会長・日本国総領事
高柳賢三博士 宛