庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

星に祈りを

2006-09-10 19:43:42 | 自然
今日の Nature Quote は久しぶりにピンと来た。狂気の画家と言われるゴッホの言葉だ。

「私が、あえて言葉にすると“宗教”というものを、どうしようもなく必要とした時は、野外に出て星を描く」
<Sッホ

When I have a terrible need of - shall I say the word - religion. Then I go out and paint the stars.
-Vincent Van Gogh


あらゆる自然の生きものは「信じる」ことによって存在し活動している。樹木は大地を信じ、魚は海洋を信じ、鳥は大空を信じ、子供は親を信じることで、自ずと成長しその分に応じてこの世界での使命をはたすことができる。この場合「使命」とは文字通り「命を使う」ことであり「生きること」と同義だ。日々大自然の恵みと厳しさの中で生き死にする彼らの世界に、疑いや不信の入り込む隙間はないはずだ。

さて、元々は自然的存在である人間の世界はどうであろうか。人間の作った社会や国家はどうであろうか。あらゆる自然存在が相互信頼の上に成り立っているのに比べて、あまりに嘘やまやかしが多すぎはしないか。それに従って、疑いや不信という伸びやかな成長にとっては阻害要因ともなる不幸が多すぎはしないか。

西洋近代は神に対する疑いと人間理性に対する信頼から始まったとされるが、日本の近代は堕落した仏教を中心とする宗教界への疑いと明治政府が持ち上げた神道への信頼から始まったと言えるのかもしれない。何を疑い何を信じるかによって個人や集団の命運が決まっていくのも当然だろう。

いずれにしても、どこまで行っても大自然の一部である人間が、まっとうに存在を続け成長していくためには、信じるに値する何かが不可欠で、人並み外れて感受性の優れた件p家が嘘まやかしだらけの人間社会や神の世界に愛想をつかして、天空の星々に祈りをささげようとしたとしても何も不思議なことではない。

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