庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

台風

2006-09-17 23:53:19 | 自然
大型台風が通過している。福岡を過ぎてもう日本海に抜けた頃か、東風が南風に変わりビュービュー電線を鳴らしている。朝までには南西に変わるだろう。20cmほど開けた南向きの窓から吹き込む突風が時おりこのPCの液晶モニターも揺らしている。雨は降っていない。

私は子供の頃から台風が好きだ。生家は漁村にあり、夏休みが終わる頃から年に何回かやってくる台風が待ち遠しくてしかたがなかかった。その進路が学校の直撃コースに入って臨時休校になるかもしれないという楽しみも含めて、テレビで台風情報が流れ出すとワクワクして何度も進路を確認する。当時は現在のように確率円ではなく分かりやすい扇状の進路予報だった。

南向きの漁村は海が東に開いていて西側は岬で守られいる。今回の様に台風中心が島の西側を通ると、東風(コチ)がまともに入って高波が押し寄せ、突き出た防波堤が波をかぶるようになる。私たちの楽しみは、その防波堤のコンクリート柵にじっと隠れて次々突進してくる高波を待ち構え、壁にぶつかった大波が白波を垂直に打ち上げた直後そこらじゅうを洗って内港になだれ落ちる間、その場に存在し続けることができるかどうか・・・という、肝試しみたいな遊びだった。

もちろん下手をすると膨大な海水と共に内港に落ちる。今の親が見たら卒唐オそうな遊びを・・・いや、当時もかあちゃんの目を盗んでやっていたのだが・・・小中学校を通して楽しんでいた。

更に、台風は滅多に大波の立たない瀬戸内海でサーフィンができる唯一の機会でもあった。もちろんサーフボードなんてものはない。漁船のイケスの蓋が代用品だ。しかしオーバーヘッドのビーチブレイクで揉みくちゃになるだけで満足だった。そして、台風が過ぎ去った後に残る、あの突き抜けた秋空にも似た体や気分の爽やかさ。

今の私は台風は地球大気を大循環させて、地上の芥(あくた)類を大聡怩オようとする大自然の有り難い自浄作用に違いない、ととらえているが、本来自然から生まれ出る子供たちはそんな難しいこと知らなくても、この母なる自然の恵みを、あのじっとしてられなくなるような生命の躍動と共に本能的に感じ取っているものなのだろう。

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