庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

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揚力係数と抗力係数

2006-02-06 22:11:50 | 飛行理論
ここまでをちょっと整理すると・・・航空力学の急所は揚力・抗力の問題・・・そして(揚力)は、(揚力係数)×1/2×(大気密度)×(速度)×(速度)×(翼面積)の式で表すことができる。抗力は(揚力係数)を(抗力係数)で置き換えたら同じ式になる。だから結局、滑空比=揚抗比=揚力と抗力の比は揚力係数と抗力係数の比と等しくなる。L/D=Cl/Cd
これは覚えておいたらなにかと便利です。

それで、揚力・抗力はどのように生まれるか・・・という話をしたいんですが、連続の方程式や静圧・動圧やベルヌーイの定理やレイノルズ数や・・・これらを丁寧に理解しようとするとかなり大変で、私もちょっと突っ込んで、揚力係数に関係するレイノルズ数がどうとか、レイノルズ数に関係する動粘性係数がどうとかとなると、式として理解はできても実感としてはほとんど何も分からないに等しい。それを「分かった気になって」また後ほど少し説明を試みてみますが、深入りすると結局「流体力学」全般のはなしになってしまうので、ほどほどにします。

ここでは、その揚力と抗力が重力と推力とピッタリ釣り合ったところで「等速水平飛行」が行われ、そのバランスが崩れると上昇した下降したり、減速したり加速したりするということだけ押さえておきましょう。

それで、今回の図は、(迎え角)の変化に伴う(揚力係数)と(抗力係数)の変化グラフを重ねて表したものです。一つの飛行翼では翼形状は考えなくてよいので、迎え角(ρ)の変化だけが問題になります。これで読み取って欲しいのは、揚力は迎え角が失速点(失速迎え角)に至るまではほぼ比例的に増大し、抗力は累乗的に(2乗に比例して)増大する・・・ということです。つまり、同じ迎え角の増大でもそれそれで増え方が違う。だから、微妙な迎え角の変化によって揚抗比もほとんど常に微妙に変化する。



ここで、前の疑問に戻りますが、上昇率の低下が推力の低下だけによるものだとしても、推力の変化によって(もし)迎え角が変化すれば、揚抗比自体も変化することになるので、推力だけが上昇性能に影響するとは言えなくります。

結局、この理論講習の初めの頃に、滑空時と水平飛行時に迎え角は同じであるはずなのに、感覚的にもちょっと見にも若干違っているように見えるという問題・・・これとつながってくるわけです。

しかし、まあ、高度が上がるにつれて上昇率悪くなる“原因の大部分は推力低下による”としても正解の範囲内としておきましょう。

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