庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

第五章 グライダーの安定からスラロームまで

2005-01-01 12:14:00 | 大空


 ライズアップが成功しグライダーが空中で安定したら、そのまま滑空状態を保たなければなりません。 風は常に変化するものであり、風の変化に従ってキャノピーも変化しようとします。グランドハンドリングでの滑空状態は翼面荷重が極めて小さい上、失速速度に近い場合が多いので、ちょっとした風の変化でもグライダーはすぐに不安定になろうとします。だからグライダーの安定を保つ上で最も大切な要素は、対気速度を保つということです。

 キャノピーが傾き始めたら左右のブレークコードで傾きを止めるのが基本ですが、キャノピーと人間はライン・ライザーを介してカラビナでつながっていることを忘れてはいけません。ハーネスのカラビナの位置=ライザーの位置が水平になってないと、キャノピーは左右どちらかに傾こうとします。カラビナ位置を水平にするには・・・

1.ハーネスのベルト類を左右均一に絞める。
2.常に人間がグライダーのセンターに位置する。(ステップイン)
3.キャノピーを風軸に合せる。
ことが大切です。

 
 風の状態が変化に富んでいる時(つまり不安定な時)は、左右への体重移動、きめ細かなブレークコントロールが必要とされます。 適度な風の中で或る程度安定が保てるようになったら、能動的にグライダーを動かしてみましょう。

 ハーネスにかける体重の量によって翼面荷重が変わりグライダーの安定度が変化するのが分かるはずです。更にゆっくり左右交互にブレークコードを引いて、ゆるやかなローリングをしてみます。足が地上についているわけですから大きいローリングは難しいですが、体を左右に傾けながらやると15度程度のローリングはできます。前進しながら滑らかにローリングを行うとスラロームになります。

 左右のブレークを同時にあてたり放したりするとピッチングの練習もできます。ローリングもピッチングもグライダーの動きに合わせてブレーク操作をする必要があります。タイミングが合わないとキャノピーの復元力とブレークの抗力が拮抗して動きが止まるからです。
 
 こうして1分間程度グライダーの安定が保てるようになったら、前進しながらグライダーをコントロールします。前進することによって大気速度が増しますから、グライダーは更に安定し、揚力も増加します。揚力が重力を超えたらグライダーは上昇を始め、人間も空中を飛び始めます。地上でのスラローム走行は総合的な技術を必要としますから、グランドハンドリングの総仕上げの練習として適しています。

 
 さまざまな条件で自由自在に自分のグライダーを扱えるようになる秘訣は、大気の動きを感じ取ること、グライダーの動きを感じ取ることに尽きます。グライダーの1本1本のラインが自分の体の一部のように感じるようになれば理想的です。大自然と一体になることが大切です。しかし、グライダーは風と一体となる訳ではありません。バルーンやロケットを除いて、大気中の全ての航空スメ[ツは大気との相対的運動によって成立するからです。
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