枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

西海の教会堂を訪ねて その5 黒島天守堂(佐世保市黒島) 

2018-05-05 | 教会・天主堂を訪ねて
九十九島中最大の島である黒島は、長崎県佐世保の沖、約10kの海上にあります。豊富な湧水に恵まれ、最高点134mの丘陵状の島全体が緑に覆われ、遠望すると、黒く見えるため、島名として呼ばれるようになったと聞きました。
島の人口は、昭和25年の2400人をピークに、今は900人ほどに減少。島民の70%がカトリック教徒で、多くは島の丘陵地にある新村に居住しています。
島の中央に、新たな天主堂が建てられたのは、明治35年(1902)、設計はマルマン神父。信徒の献金や勤労奉仕があったものの、資金難で工事は中断。 神父がフランスに帰国して募金に奔走したといいます。島で焼かれた総枚数約40万個のレンガが使用されています。円形のアプス(後陣)は、国内で唯一のもの。聖像、色ガラスはフランス製です。床に一面、畳が敷かれていたといいますが、近年、椅子に改められた。残念な気もします。16本の束ね柱から、リブ・ヴォールト天井に繋がる曲線、重厚な色ガラスを透過する光と影・・、素晴らしい空間が造られていると思えます。

佐世保郊外、相浦港より、日に3便というフェリーで50分。10時50分に島に着くと、帰りの便は15時30分、食堂も喫茶店もない島の中、まだ寒い時期にづっと屋外にいるのは、ちょっとつらいこと。
本村の港より坂道を上がり1.5k。緩やかな峠を越えると、眼前に天主堂が見えてきます。感動のひと時です。
天主堂近くのなんでも屋のお店に入って、昼食のお茶を買います。
「天主堂、どうやったと?・・ こん島で、ほんと唯一つの誇りなんばい・・」と、店の主人。
急に空が曇ってきた。小雪も混じっていたよう。そんな中で、毅然と立つ天主堂の塔は、島の人の心のように見えたものです。
(2008年2月)