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「大世界史 現代を生き抜く最強の教科書」 池上彰・佐藤優

2016-05-11 | 読書

以前の新戦争論に続き、博覧強記なジャーナリストに作家が、現代人が歴史を知る必要性を世界情勢を踏まえ縦横無尽に語りつくす。

複雑な、現代につながる歴史をわかりやすくまとめ、新書ながら濃い内容の本だった。

歴史を知らないと今の自分の立ち位置が分からない。ビジネスマンも、主婦も、危機に遭遇した時、過去から学ぶ代理体験があればそれを乗り越えることができる。誰しも勉強大切、特に世界の歴史を知ることは今の暮らしに大変役に立つというのがこの本の立場。

うんうん、と深くうなづくところがあった。私達の世代で、嫁の愚痴言ったり、被爆者の悪口言ったり、要するに自分と立場の違う人に理解が至らない人は、多分教養が足りないのではなかろうかと思うわけです。

被爆者が恵まれていると悪口言う人がいますが、被爆者の訴えがなかったら、世界のどこかでまた核兵器が使われていたのではないかと愚考するわけです。その心は、被害を言えば言うほど、威力の宣伝になり、仇おろそかには使えない、持っているだけで、持たない国より優位に立てる。そう学んだのではないかと思います。

核廃絶は私の生きている間は無理だと思う。その先でもわからない。がしかし、割と高い確率で使うことはないのではないかと思っている。リスク高すぎ。ただ怖いのはヒューマンエラーのみ。


中東世界はこの本読んでもよく分からない。アラブと言うと、サウジアラビアも、トルコも、イランいっしょくたに日本人は考えるけど、宗派も違うし、言葉も違うし、とても一括りにはできない地域。

利害関係が複雑に絡み合い、強国がこの地域にちょっかい出すけど、やることは支離滅裂。その隙間を縫ってイスラム国などもできてくるわけで、次はアジアで第二のイスラム国ができるかもしれない、イスラム国が核を持つようになるかもという本書の警告は、戦後社会の枠組みが大きく崩れつつあることを改めて認識した。


日中韓の歴史教科書比べ、これは面白かった。日本と中国はそれでも唯物史観の残滓が残っていて、筋が通ってといるけれど、韓国の近現代史は、日本の天皇を狙ったテロリストの記述が延々続くそうな。まるでテロリストが歴史を動かしているような。

むしろ北朝鮮の方が、抗日運動→建国と国家の成り立ちを肯定しやすいそうな。

また中国は反日の内容はなく、ただ単に第二次世界大戦はファシズムに対する正義の戦争であるとし、連合国としてそれに勝利した自負を感じさせる内容であるとか。

国際連合は外務省の苦心の訳、United of nationsは第二次大戦の戦勝国の連合のこと。戦勝国が決めた世界の枠組み、それを具体化したのが国際連合。だから日本もドイツも常任理事国にはなれない。なるほど。


アラブは難しいです。言葉がよく分からないし、国がどこにあるかもよく知らない。昔、学校で人様にものを教えていたのに、すっかり忘れてしまってお恥ずかしい限りです。

ヨーロッパー行くと、街に普通にアラブ系の人がいるし、女性で、頭を覆っている人もよく見かける。その人たち、みんなテロリストではなく、2012年秋、私はミュンヘンのスーパーで、アラブ系の年配女性にどうぞと順番譲ってもにらいました。

狭い日本の中で、アラブ怖いと言っているだけでは物事解決しないのかも。アラブの人たちがヨーロッパへ行くのはもう民族大移動みたいになっているらしい。止められませんね。

世界中が新たな秩序に向かって、しばらくは犠牲も出すような試行錯誤が続くのかも。人間どこででも生きていける技術や知識と、その基礎となる語学が必要。どれも私には欠けているものです。

東洋の片隅で、小さな喜怒哀楽の波に漂いながら人生を終わるのがわが運命かとも気が付きました。

願わくば大きな戦争に地震、小さな災厄も遇わずに過ごしたいものでございます。

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