里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

落ち葉集めが懐かしいクヌギの林

2021年01月25日 | 野山

昔、両親健在の頃、冬期間にはよく落ち葉集めを手伝いました。
それがこの林。


傾斜が緩いので山というよりは林というのがピッタリです。

過日、落ち葉を畑に直接すき込んで土壌改良に利用することを記しました。
昔は、この林から落ち葉を大量に集めて運び、それを育苗の温床の熱源資材として使いました。
踏み込み温床と言われるものです。今は温床と言えば電熱ですが、昔は自然の資源を利用しました。
落ち葉を原料として踏み込み、腐れるときに出る熱を温床として利用し、苗を育てたのです。さらに熱源として利用した後は、落ち葉が腐り腐葉土となるので床土として再利用するのです。
実によく里山の自然循環がなされていました。
踏み込み温床を作るにもやはりテクニックが必要で、それは個々の農家の腕の見せ所でもありました。
今年は大雪にはなっていませんが、たびたび降雪があります。この林は南向きで雪が降っても消えるのが早い。昔から落ち葉集めには最適でした。


普通、雑木は20~30年ごとに伐採し、新しい芽を吹かせるのですが、この林は伐採せず、専ら落ち葉集めの林としていました。木が大きくなれば下草は少なく、落ち葉の量は多くなるので楽に集めることができます。


今でも当時とほとんど変っていないように見えますが、木は確実に大きくなっているはずです。


この辺りの山で最も多い樹種はナラの木(コナラ)です。この林は特異的にクヌギの木が多い。


かなりの大木になっています。


大量の落ち葉で、じゅうたんを敷き詰めたようになります。


落ち葉を集めることは容易にできます。

落ち葉をかき分ければ腐葉土化した土が出てきます。


落ち葉を集めるのは楽ですが、ここから運び出すのは容易ではありません。昔は当たり前のようにやっていたわけです。


クヌギの木は椎茸のホダギなどにも利用されますが、木炭の原料に最適とされます。木が堅く火持ちがいいのでナラの木炭より高く取引されました。
父は時に木炭も作っていました。今もその在庫があります。
くずの木炭は土壌改良に利用しており、未だその恩恵に与っているわけです。
今年は父の27回忌。