里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

小正月に団子刺し

2019年01月15日 | 暮らし


 小正月にはミズキ(水木)の枝に団子を刺す風習があります。
 この行事は、ミズキに紅白や緑の団子を刺し、鯛、宝船などの飾り物をぶら下げて、豊作や家内安全・家内繁栄などを祈願するものです。



 これは、妹が我が家の分まで一緒に作ってくれたもので、ありがたく便乗させてもらいました。神棚の下に供えます。



 子供の頃、15日は夜明け前に起こされ、小豆汁に団子を入れた「暁(あかつき)団子」というものを食べさせられました。米も入っていましたので、薄い小豆粥に団子が入ったようなものです。小豆粥を食べる風習は結構あるようなので、それが変じたものかもしれません。囲炉裏に大きな鍋を掛けて作ったものです。とにかく眠かったことを憶えています。なぜ夜明け前でなければならなかったのかはよく分かりません。この風習は、いつの間にか、囲炉裏が姿を消したのと合わせたかのようにやらなくなった気がします。
 続いて行われる団子刺しは一大行事でした。そもそもミズキが半端でない大きさです。いわゆる大黒柱にくくりつけ、天井までも届くような大きさですから、茶の間は一面花が咲いているような状態になります。
 団子と言っても正確には餅です。団子は米粉を練って作りますが、団子の数も膨大ですから臼で餅をつきそれを小さな団子状にして刺すわけです。とにかく、ミズキは大きく団子の数が多いほど縁起がいいということだったのでしょう。
 これもさすがに、土間が姿を消し、リフォームが行われるのと合わせるように小さくなっていきました。小正月は女の正月ともいわれますが、この団子刺しが最もそれにふさわしい華やかな行事だったように思います。
 今や、ごらんのような甚だ慎ましい姿となりました。


 もちろんミズキは我が家の山のものです。それがこちら。



枝がすーっと伸び、肌はなめらかで赤みを帯びて美しい木です。確かに団子を刺すにはもってこいの木で、代替えできる木もないような感じがします。





 昔はこのくらいの木まるごと1本に団子を刺したのでした。今は先っぽを切ってちょっと刺すだけです。
 ミズキはこけしを作る材料として使用されますが、この辺りではもっぱら団子の木と言われています。団子刺しに使う木と言うわけですから団子刺しがいかに一大イベントだったかが分かろうというものです。
 過日、当地方の幼稚園児たちが結構大きなミズキに団子刺しをしている様子がニュースで流されていましたが、微笑ましく見ておりました。


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