里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

小正月は「鳥追い」に「団子刺し」

2025年01月15日 | 暮らし

当地方の小正月は1月14日から15日。
1月14日までがいわゆる松の内で、しめ縄や松飾りを下ろします。
これが下ろした松飾り。


昔ならもっと沢山ありましたが、簡素化も進めて少なくなりました。
古いお札などはすでに大晦日に山の神様に納めているので正月飾りだけです。
下ろした松飾りなどは神社の境内や広場で行われる「どんと祭」で燃やすのが一般的です。
我が家では14日夕方に「鳥追い」を行い納めます。
「鳥追い」とはその名の通り鳥を追い払う正月行事のことです。
そもそもは農作物が害鳥に荒らされないよう「鳥追い」を行い豊作祈願をする訳です。
そして同時に家内安全、家内繁栄ひいては世の平安を祈願するものでもあります。
納めに行く道すがら鳥を追い払うため「ヤー、ホイ、ホイ、ホイ」と大声で繰り返し叫びます。
我が家では下ろした松飾りなどを御神木と定めた杉の木にしめ縄で括り付け納めるのが習わしでした。
ところが物理的に行うのが困難になったのです。
これがその御神木。


このご神木は実は2代目ですが、年々太くなりケヤキの大木とピタリとくっつきしめ縄が通せなくなりました。
そこで一昨年から山の神様に納めることにしたのです。
我が家では昔から神棚の古いお札や飾りものは、大晦日に山の神様に納めるのが習わしです。
ですから、この機会に新年の松飾りなども山の神様に納めることにした訳です。
納めるのは少しばかりの全て朽ち果て自然に帰るものだけです。
と言うわけで山の神様に納めるのは今年で3年目。お参りを兼ねつつ納めました。


子供の頃、納めに行く途中「ヤー、ホイ、ホイ、ホイ」と大声で叫べと父によく叱咤されたものでした。
今やとても叫べません。小声で豊作祈願、家内安全、世の平穏を念じつつ納めました。
近隣では「どんと祭」に参加するお宅が殆どです。我が家もほんの一時参加したことがありました。
あまり良いことがなく、縁起を担いですぐもとの習わしに戻しました。
小正月のもう一つの習わしは「団子刺し」。
「団子刺し」とは、団子の木に団子を刺して飾り付けるものです。
団子の木とは通称。ミズキ(水木)が正式名。一番手前のすっと立っている木です。


ミズキはこけしを作る材料として知られます。当県には弥治郎、遠刈田、鳴子など著名なこけしが多い。
当地では誰しも団子の木と言うくらいですから、小正月の「団子刺し」は重要な行事だったのでしょう。
ミズキは枝が赤みを帯びて美しくなめらか、枝先は団子が刺しやすい。代わりの樹種はなかなかありません。


「団子刺し」は豊作や家内安全・家内繁栄を祈願する昔からの習わしです。
女の正月とも言われる小正月らしい華やいだ雰囲気を感じさせる行事と言えるでしょう。
団子の木は小生が提供、いつも助っ人が作ってくれます。


ミズキの枝先に紅白や緑の団子を刺し、大黒様などの縁起物をぶら下げ、神棚や部屋に飾り付けます。


今は形ばかりですが、幼少の頃は大きなミズキに部屋中団子の花で一杯になるほど飾り付けたものでした。
15日の夜明け前には眠い目を擦りながら「暁(あかつき)団子」を食べたことが朧気ながら思い出されます。
助っ人は「団子刺し」もそろそろ終わりにしようかと言っています。様々な正月行事も次第に姿を消してきました。


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