けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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加味温胆湯を作りました。 認知症や不眠症に使います。(虚熱の上昇)

2017-10-22 12:16:37 | 犬のいる生活

時々わたくしの母親(91歳)が、犬のベイリー(♀9か月)のことを「ジョウジ!」と呼んでいます。
「うわっ。。ついにボケたかな?!」と思ったりするのですが、実は私も時々「おい、ジョウジ」と呼んでいることに気がつきました。

ジョウジは息子の名前なのですが、確かにベイリーの情けなくてまぬけな感じが、幼いころのジョウジに似ているのです。


さて、今回はボケの話題が出たところで、認知症と漢方薬のお話をしてみたいと思います。
東洋医学的な意味合いでの、認知症、アルツハイマー、そしてパーキンソン症候群など、脳や脊髄に絡む疾病は津液(しんえき)の渇きによるものが多いとされています。

人間の体の中には、氣、血(けつと発音して、イコール血液ではないという含みがあります)そして津液(しんえき、いわゆる体液を指します)の三つがまんべんなく体内を循環して健康を保っていると考えられています。
これら氣、血、津液の乱れを陰陽的な考え方と五行的な考え方で、関連の経絡を駆使して治療がなされます。そして疾病の原因自体を緩和させたり、体質的な虚を補ってゆくのが東洋医学の考え方となります。

さて、人の脳や脊髄は頭蓋骨や脊柱管に満たされた津液の中に浮かんでおります。
簡単に考えると、みずみずしいお豆腐がフレッシュな水を満たしたタッパーの中に浮かんでいる状態とイメージいたします。

この水が枯れてくると、当然中に浮かんでいた豆腐の鮮度も落ちてしまいます。
この状態が、病名的いえば、一般的な認知症、アルツハイマー型認知症、そしてパーキンソン症候群などを起こす要因となるわけです。

それではなぜこの水が枯れてくるのでしょう。。
それは虚熱(きょねつ、体のどこかが弱ったから発生する熱)が頭に上ってきたことによります。

単純に考えると一つは怒り、もう一つは長い間の重労働によるものと考えます。

これらの症状には抑肝散加陳皮半夏(よっかんさんかちんぴはんげ)と加味温胆湯(かみうんたんとう)が代表的な漢方薬として知られています。検索をいたしますと、これらの漢方薬と上記の疾病に関する情報が容易にみつかります。

他にも、個々の体質によって、釣藤散(ちょうとうさん)、柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などが使われる場合もあります。

さて、今回作りました加味温胆湯(かみうんたんとう)は長い間の累積疲労からくる津液の枯渇を目標に作られています。
「近所のおばあさんは若いころから未亡人になって、3人の子供を女手一つで育て上げた立派な人なんです。。でもみんな大きくなってお孫さんもできてこれからっていうときにボケちゃったそうよ。。」というような生き様の方に使われます。
長年塗炭の苦しみに耐えて、馬車馬のように働いた方のような体質に起こりやすいということです。
虚労が続き、その体内で起った虚熱が上がって津液を枯渇させてしまい。起きてしまった悲劇です。

加味温胆湯はこの状態の予防と緩和に使われます。
文献を観ると、中国ではこの加味温胆湯のほうが、抑肝散加陳皮半夏よりも使われているように見受けます。たぶん、文化大革命や下放といわれる荒れ果てた農地での重労働などを乗り越えてきた方々が多いからではないでしょうか。

加味温胆湯は上記のような悲しいご病気でなくとも、この虚熱が体の上にとどまっておきてしまう症状一般に使うことができるのです。
虚熱が上半身のスイッチをONにしっぱなしにしてしまい芯からリラックスすることができないがゆえに、眠れない、悪い夢ばかり見る、耳鳴りがする、動悸息切れが激しい、頭痛、めまいなどの状態を胃腸を丈夫にしながら癒してゆきます。


次回は、抑肝散加陳皮半夏についてお話をしたいと思います。


さて、これからジョウジを連れて散歩に行くかな。。。あ、、ベイリーだった。。

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